「待宵」ってなんのこと?実は今夜です!
皆様、今年の「中秋の名月/十五夜」はいつかご存知ですか?
「中秋の名月/十五夜」は、「陰暦8月15日の夜の月見」を表現する言葉ですので、今年は10月1日、明日がその日(陰暦で言うと8月15日)になります。
秋の空気の澄んだ季節に、お団子やススキを備えて、美しいお月様を鑑賞する…そんな風流なお月見の風習ですが、昔の人が、いかにこのイベントを楽しみにしていたか、とてもよくわかる日本語があるのです。
「十五夜」の前日、つまり「陰暦8月14日の夜」を表現する「待宵(まつよい)」という言葉で、俳句の季語にもなっています。
「待宵(まつよい)」は「待っている夜」という意味ですが、これが、十五夜のお月見の前日を示す季語になっているとは、日本人の風流を感じずにはいられません。楽しみなことは、当日だけでなく、それを待つ時間も楽しい、と思える感性を表現する、大変美しい日本語です。
ちなみに、今年の「待宵」は今夜ですよ!
…というところで、本日1問目のクイズです。
【問題1】「待宵」のもう一つの意味は?
月の美しい「十五夜」の前日・十四夜(じゅうよや)のことを表現する「待宵(まつよい)」という言葉には、もう一つ、「○○を待つ夜」という意味もあります。○○に入る対象は何でしょうか?以下の選択肢の中から選んでください。
1:出稼ぎ中の家長
2:訪ねてくるはずの恋人
3:亡くなった家族
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:訪ねてくるはずの恋人 です。
『源氏物語』でも有名ですが、昔は、恋人が「通(かよ)ってくる」という形式がありましたよね?「やってくる(約束した)恋人を待つ夜」も「待宵(まつよい)」と言ったそうです。
ということは、昔の人が「十五夜の月」を「楽しみに待っている恋人」ほど価値のあるもの、と例えたことになります。…知れば知るほど風流ですね。
では、2問目に参りましょう。
【問題2】「猶予う」ってなんと読む?
「猶予う」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント1:「進もうとしてなかなか進めない/ためらう」「停滞する」などの意味を持つ言葉です。
ヒント2:「揺蕩(たゆた)う」の異表記で「猶予(たゆた)う」という読み方もあります。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 猶予(いざよ)う です。
「十五夜」の翌日を「十六夜(いざよい)」と言いますよね?
これは、「十五夜」の後は月の出る時間が少しずつ遅くなっていく(一晩経過するごとに、約50分程度ずつ月の出る時間が遅くなる)ことから、
まるで月が「出てくるのをためらっている=猶予(いざよ)う」ような様子だという意味で「十六夜(いざよい)」と呼ぶようになったのだとか。
「十五夜」だけでなく、前夜や翌日にもそれぞれ、月を愛でる日本語があるのです。
本日は
・待宵(まつよい)
・十六夜(いざよい)
・猶予(いざよ)う
など、「十五夜」に関連した日本語をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱