松尾芭蕉で有名な「俳諧」って何?「俳句」と同じもの?何か違うの?
本日10月12日は、江戸時代の俳諧師・松尾芭蕉の忌日『芭蕉忌』です。
松尾芭蕉と言えば「俳句の歴史上、最も凄い人」として、日本人の誰もがその名を認識しています。「ワビ・サビの概念に関係する人」という知識も、なんとなくお持ちでしょう。(※松尾芭蕉とワビサビの関係について知りたい方は、
をごらんください。)
しかし、意外と知らない人が多そうなのが「俳諧(はいかい)」です。芭蕉の職業は「俳諧師」ですが、「俳句」と「俳諧」は同じものなのでしょうか?
…というところで、本日1問目のクイズです。
【問題1】「俳諧」って何?
「俳諧」の説明として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:「俳句」の異名。「俳句」に同じ。
2:七五調の句を複数並べてつむぐ長編の文芸
3:七五調の句を複数人が引き継ぎながら詠む集団文芸
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 3:七五調の句を複数人が引き継ぎながら詠む集団文芸 です。
「俳諧」とは、江戸時代に確立した集団文芸を指し、和歌の連歌を、言葉遊びなどの遊戯性を追求しながら、参加者が次々につなげて楽しむ文芸遊びの事です。もともとは「俳諧連歌(はいかいれんが)」と呼ばれていたものの短縮語が「俳諧」です。
「俳諧」は、武家や豪商など、趣味としてこれを楽しむ人々がいる一方、
優れたセンスにスポンサーが付き、「俳諧」のみを職業とする専業の芸術家が登場しました。この、俳諧専業の芸術家が「俳諧師」、つまり松尾芭蕉の職業です。
「俳諧」には、一番最初の句のテイストが、とても大事になりますよね?
…というところで、本日2問目のクイズです。
【問題2】「発句」ってなんと読む?
「発句」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「短歌の最初の句」「連歌・連句の第一句」「連歌・連句の第一句が独立した短詩形として単独で作られたもの」などの意味を持つ言葉です。
<使用例>
「芭蕉は、俳諧連歌の発句の芸術性を高め、独立させた第一人者です。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 発句(ほっく) です。
芭蕉は、例文の通り、「発句」の芸術性を高め、独立した短詩形として成立させた第一人者です。
言い換えれば、「俳句=俳諧から、発句が単独で味わえる芸術性をまとって独立した新文芸」を作った、立役者なのです。
なるほど「俳句の歴史上、最も凄い人」に違いありません。
本日は、『芭蕉忌』にちなんで、
・俳諧(はいかい)
という文芸の内容と、
・発句(ほっく)
という言葉から、
・俳句(はいく)が生まれた背景のトリビア
をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱