高級紳士靴の代名詞的存在、ジョンロブ。その人気スニーカー『ホルム』の魅力を知る手掛かりは、歴史の中にある。
始まりは1866年。これはブーツ職人としてそのキャリアをスタートさせた創業者ジョン・ロブが、ロンドンに第1号店をオープンさせた年である。その評判は瞬く間に広がり、開店後間もなく上流階級や政治家、財界エリートに向けたビスポークシューズの受注を開始。その成功を受けて、1902年にはパリに第1号店をオープン。そして1982年には既製靴コレクションをスタートさせ、世界中の人々を魅了していった。
これぞジョンロブのクラフツマンシップの真髄
アイコン『ウィリアム』を元につくられたスニーカー『ホルム』
偉大なる繁栄の礎になったのが、現在にも受け継がれている名作の誕生だ。そのひとつが『ウィリアム』。1940年代前半、稀代の洒落者と称されたウィンザー公からのオーダーに端を発する元祖ダブルモンクシューズだ。手がけたのは二代目当主、ウィリアム・ロブ。飛行士がはくブーツに着想を得て考案した、今年でちょうど誕生75周年を迎えるマスターピースである。
アーティスティック・ディレクター、パウラ・ジェルバーゼがアーカイブを見直し、2018年に手がけたスニーカー『ホルム』。そのデザインソースとなっているのが、件の『ウィリアム』だ。最高級フルグレインレザーを使ったスエード素材、オリジナルにこだわったラバーソール。また極力ステッチを減らしながら、足当たりがやわらかい一方で型くずれしにくい仕立て。随所のこだわりからジョンロブのクラフツマンシップの真髄、ビスポークの精神を垣間見ることができる。ドレス靴にも通ずるエレガンスと軽快な表情が同居する、ジョンロブのスニーカー。そこには由緒ある伝統が息づいている。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2020年秋号より
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- PHOTO :
- 小池紀行(パイルドライバー )
- STYLIST :
- 菊池陽之介