ダークヒーローの傍には、いつもウイスキーがあった。それは知略を駆使した頭脳を冷ます魔法の水であり、鍛え上げた肉体に休暇を与えるためにも必要なものだ。長い歴史を誇り、産地、種類も膨大なウイスキーを愛するために、必要な情報はいつも手の届く場所になければならない。そんなときに必ず役立つ、究極の書籍が刊行された。叛逆の精神を宿すすべての男たちに捧げる、良書である。

不屈の男に欠かせない本物の酒、ウイスキー

A4変形ハードカバー、336ページにわたる本書はずしりと重く、男っぽい。書棚の蔵書のなかでも抜群の存在感を放つに違いない。

 秘めたる野望を着々と実行に移す男の傍には、いつもウイスキーがあった……。稀代のハードボイルド作家、大藪春彦が描いた昭和のダークヒーローたちのことだ。代表作のひとつ、「蘇える金狼」の朝倉哲也は、平凡な会社員の仮面を脱ぐことのできる夜間にありったけのエネルギーを注ぎこんで、強大な権力に挑む。夜空が白み始める頃、窮屈な下宿に戻ってきた彼は、ウイスキーの水割りで体の痛みを和らげ、頭を整理し、そのまま泥のように眠り込む。他の作品でも同じような状況で、しばしば主人公はウイスキーの瓶の口を手刀で割ってラッパ飲みしたり、舌が焦げるようなコーヒーにバターとウイスキーを落とす描写が出てくる。ウイスキーは、不屈であり続けるために必要な、男の酒なのだ。

750ものテイスティングノートを掲載!

膨大な情報を機能的にまとめた構成はウイスキー初心者でも手に取りやすく、ウイスキーを総合的に学ぶ旅へと誘ってくれる。

 スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、そして日本…。ウイスキーを愛するなら、名産地とされる地域の歴史や味の違いを知っておくべきだ。「世界のウイスキー図鑑」は、そのために欠かせないデータベースであり、すべてのウイスキー飲みに捧げられた指南書である。200か所以上の蒸留所を探求し、750種類以上のテイスティングノートが記され、美しい写真や図解が豊富に盛り込まれた本書は、叶わぬかもしれぬ夢を追い続けるために必要な、膨大な資料や道具に囲まれた書斎(それはアジトと同義である)で、重要な役割を果たすに違いない。

 

■世界のウイスキー図鑑
著者:デイブ・ブルーム
監修者:橋口孝司
価格:¥7,800
発行元:ガイアブックス
http://www.gaiajapan.co.jp

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