ポスト・コロナ、そしてSDGsといった事柄が至るところで言及される現在、どのようなモノ選びをするべきか。そのためには、例えば「デュラビリティ(耐久性)」や「エバーラスティング(持続性)」、そして「オーセンティシティ(正統性)」といったキーワードが挙げられるように思われる。長く使い続けられるための、丈夫さ、不易(不変)さ、そしてつくり手への信頼感。そして、そうした要素を備えつつ、腕時計の最新形といえるのが、この『TRUME(トゥルーム)』ではないだろうか。

戦後日本の時計生産技術を飛躍的に向上させた担い手のひとつ、諏訪精工舎。同社が手がけた名作といわれるモデルは数多いが、例えばセイコーの「セカンドダイバー(6105-8110)」は探検家・植村直己の愛用時計として知られ、国内外のヴィンテージマーケットにおいて未だに高い人気を誇っている(ちなみに2019年にSBDX031として復刻している)。『TRUME』はそんな諏訪精工舎を前身としたエプソンが手がけるウォッチブランド。まさに日本における、オーセンティックな腕時計のひとつといえるだろう。

着用することで動作が続くクオーツ、「スイングジェネレータ」

『TRUME』の最新モデル「L Collection –Break Line-」より、東レの高強力ナイロン糸を使ったGAIFU®ベルトを採用したリミテッドモデルTR-ME2001(左)¥80,000(税抜)、チタン製メタルバンドを採用したTR-ME2011(右)¥90,000(税抜)。チタンケース(ベゼル部はセラミック)、クオーツ、10気圧防水、サイズ(ボタン・リューズ含まず)縦52.9mm×横45.4mm×厚さ12.4mm、ラグ幅22mm。
『TRUME』の最新モデル「L Collection –Break Line-」より、東レの高強力ナイロン糸を使ったGAIFU®ベルトを採用したリミテッドモデルTR-ME2001(左)¥80,000、チタン製メタルバンドを採用したTR-ME2011(右)¥90,000。チタンケース(ベゼル部はセラミック)、クオーツ、10気圧防水、サイズ(ボタン・リューズ含まず)縦52.9mm×横45.4mm×厚さ12.4mm。

だからといって、『TRUME』は決してオールドスクールな機械式腕時計ではない。そこには諏訪精工舎のもうひとつのキャラクター、世界で初めてクオーツ腕時計をつくったオリジネイターという血統が受け継がれている。クラフツマンシップに基づきながら、常にその時代における最前衛の腕時計を追求する姿勢は、ムーヴメント「SWING GENERATOR(スイングジェネレータ)」に表れている。

ケースバックはスケルトンになっていて、「SWING GENERATOR」の回転錘の動作を見ることができる。クオーツの精度と自動巻きの使い勝手を併せ持った、ポスト・スマートウォッチ時代の腕時計のあり方ともいえるかもしれない。
シースルーバックになっていて、「SWING GENERATOR」の回転錘の動作を見ることができる。この回転錘の動きで発電された駆動エネルギーによってクオーツ回路とモーターを制御する。半年間使用していないと自動的に針の動きを止め、エネルギー消費を最小限に抑える機能も搭載している。クオーツの精度と自動巻きの使い勝手を併せ持った、ポスト・スマートウォッチ時代の腕時計のあり方ともいえるかもしれない。

この「SWING GENERATOR」は、腕の動きで自ら発電し蓄電することができるムーヴメント。端的にいえば「オートマチックのクオーツ」である。内蔵された回転錘の振れを利用して発電し、蓄電されたエネルギーでクオーツ回路とモーターを制御。動いていれば充電されるため、光が届かない場所であっても、身につけている事で動作し続けるという。また半年間使用しない場合、針の動きを一時的に止め、エネルギーを温存する機能も搭載している。充電量は秒針で確認することが可能だ。もちろん精度は月差±15秒というクオーツ精度を維持している。

チタンボディと多彩なバンドの組み合わせが生む活動性

11月に発売された『TRUME』の「L Collection –Break Line-」は、「SWING GENERATOR」を搭載した最新モデル。GMT機能を搭載し、本格的なフィールドウォッチとしてのスペックを備えつつ、さまざまなスタイルに合わせられるよう、リミテッドモデルも含め12のバリエーションが展開されている。
「L Collection –Break Line-」のイメージヴィジュアル。アウトドアでの使用においても強さと持続性が発揮される。アクティブなライフスタイルに頼もしい相棒となりそうだ。

11月に発売された『TRUME』の「L Collection –Break Line-」は、「SWING GENERATOR」を搭載した最新モデル。GMT機能を搭載し、本格的なフィールドウォッチとしてのスペックを備えつつ、さまざまなスタイルに合わせられるよう、リミテッドモデルも含め12のバリエーションが展開されている。 

ケースはサビに強く肌に優しいチタン、GMTベゼルには傷につよいセラミックを使っている。
ケースはサビに強く肌に優しいチタン、GMTベゼルには傷に強いセラミックを使っている。
立体感あるダイヤカットインデックスや明るいルミナスライトは、アクティブなライフシーンに対応するディテール。2つの時間を表示する機能であると同時に24時間計でもあるGMT機能は、北半球の太陽が見える所においては、GMT針を太陽に向けることで12時方向を北と判読する方位計測が可能。
立体感あるダイヤカットインデックスや明るいルミナスライトは、アクティブなライフシーンに対応するディテール。2つの時間を表示する機能であると同時に24時間計でもあるGMT機能は、北半球の太陽が見える所においては、GMT針を太陽に向けることで12時方向を北と判読する方位計測が可能。

ケース素材には、『TRUME』の他のコレクション同様、軽量で錆びにくいチタンを採用し、さらにプロテクトコーティングを施して耐傷性を高めている。また、GMTベゼルには刻印の視認性を損なわないよう、擦過傷に強いセラミックを使用。さらに側面からの衝撃に備えて金属リングを装備している。インデックス部のルミナスライト(蓄光部)は一般的なものよりも厚く塗布して輝度を向上。さらにGMTベゼルの4箇所(6時、12時、18時、24時)にもルミナスライトが塗布されている。

左からチタン製メタルバンドのTR-ME2009¥90,000(税抜)、コーデュラバリスティックナイロンバンドのTR-ME2002¥80,000(税抜)
左からチタン製メタルバンドのTR-ME2009 ¥90,000、コーデュラバリスティックナイロンバンドのTR-ME2002 ¥80,000
左からGAIFU®バンドのTR-ME2003 ¥80,000、米ホーウィン社クロムエクセルレザーバンドのTR-ME2004 ¥80,000

そして大きな特徴が、ダイヤルカラーなどとの組み合わせで展開されているバンドのバリエーション。チタン製メタルバンドの他に、コーデュラバリスティックナイロンを採用したバンド、航空機用タイヤコードにも使用される高強力ナイロン糸を使用したGAIFU®を使ったバンド、さらに米ホーウィン社のクロムエクセルレザーを使った革製バンドがあり、着用シーンやスタイルに応じて選ぶことができる。

高い精度を維持しながら電池交換を最小限に抑えた「SWING GENERATOR」を搭載し、オンオフ双方で着用できるようなデザインを備えたこの「L Collection –Break Line-」は、時宜にかなったサステナブルなプロダクトといえる。その一方で、腕時計本来のメカニカルな魅力も感じられ、本格的な機械式腕時計を好む層にとっても、見逃せない存在といえるだろう。さらにアンダー10万円という価格は、初めて良質な腕時計を手にする層、手持ちの時計とはひと味違ったテイストを求める層、双方に訴求するものだ。

※価格はすべて税抜です。

問い合わせ先

TRUME お客様相談室

TEL:050-3155-8285

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名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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