大の日本好きとして知られ、たびたび来日も果たしているディオールメンズ アーティスティック ディレクターのキム・ジョーンズ。日本の文化やファッションに精通する彼が興味をそそられたもの。それは意外にもデサントのものづくりの現場だったという。10年以上前から同社のクオリティに惹かれ続けたキムが、満を持して実現させたのが同社とのコラボウエアというわけだ。
インスピレーションは日本のヴィンテージ！
テープ一本まで抜かりなく美意識と機能性を融合したシェルジャケット
優れた透湿防水性を備え、風雪をブロックするために着込むシェルジャケット。鮮やかながらキツさのない絶妙なイエローの発色と、グラフィカルに配された止水ジップが印象的だ。肩口には「DIOR」のロゴが誇らしげに光っている。¥470,000（クリスチャン ディオール）
雨や雪をブロックするため内側に配されるシームテープ。剝離のないよう、手仕事で入念に取り付けられる。
生地にトゲの付いた鉄球を当て、引っ搔きに対する強度を検査。ギアとしての機能にもこだわり抜いている。
フードの前立てをめくると、内側にベンチレーションが。防寒性をキープしつつ呼気を効率的に排気できる。
ゆったりしたシルエットにヴィンテージの趣が薫るダウンジャケット
スキーのヴィンテージスタイルのイメージを踏襲し、ややゆとりをもたせたシルエットにデザインした一着。ユニークな形に配されたシームテープは、水気が手やポケットのほうへ流れていかないようコントロールする役割も果たしている。￥600,000（クリスチャン ディオール）
生地は職人の手仕事により裁断される。手間を惜しまない丁寧なものづくりこそサヴォワールフェールの本懐だ。
保温性を左右するダウンパ ックの製作風景。こちらもひとつひとつ、手作業でフ ェザーを充塡している。
ダウンの大敵である水気もシャットアウト。R＆Dセンターでは専用の機器を用いて耐水性をチェックしている。
キムが目ざしたのは、世界随一を誇るデサントの技術力と、ディオールの研ぎ澄まされたクリエーションとの完璧な融合。風雪を防ぐテクノロジーが遺憾なく発揮されたジャケットは、最先端の専門技術を駆使した機能性を持つ。抜群の保温性能に加え、万一の遭難に備えてGPSまで搭載されているというから驚きだ。
その実用性を損なわずディオール流のデザインへと昇華させるのがキムの手腕というわけだが、なんとそのインスピレーションとなったのは’70〜’80年代の日本のスキースタイル。鮮やかな色使いやゆとりのあるシルエットなどにそのエッセンスが反映されている。当時スキーに勤しんだ世代なら、懐かしさを覚えるかもしれない。いずれにしろ、日本人としてはなんともそそられるコレクションだ。
サヴォワールフェール（職人技）と先進的デザインの両立は、ディオールが創設時から大切にしてきた哲学。日本のサヴォワールフェールを礼賛した本コラボ作は、そんな同社の真骨頂を宿した紛れもない名品だ。
※掲載した商品の価格は、すべて税抜きです。
＜出典＞
MEN'S Precious冬号「男が愛し抜く『名品』」
【内容紹介】福山雅治 30年の軌跡／男が愛し抜く「名品」／名品を手にすべき、真実の理由／「大人のミリタリー」は、優雅な気骨で着こなせ！／発表！「MEN'S Precious ウォッチアワード」2020
2020年12月3日発売 ¥1,230（税込）
この記事の執筆者
- TEXT ：
- MEN'S Precious編集部
- BY ：
- MEN'S Precious2021年冬号より
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