新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言を受け、再び自宅で過ごす時間が増えた今だからこそ、ぜひ読んでもらいたい書籍がある。
それが、2020年12月18日に発売された伊集院 静氏による小説『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』だ。同書は、直木賞選考委員でもある伊集院氏が初めて挑んだ時代エンターテインメント。題材としたのは誰もが知っている『忠臣蔵』だが、伊集院氏独自の目線と丁寧な描写によって『新説忠臣蔵』に仕上がっている。
伊集院 静が初めて挑む、感涙必至の歴史エンターテインメント!
全国の書店員から感動の声が続々!
ここでは、全国の書店員から寄せられた読後の感想をいくつか紹介しよう。
今まで知っているようで知らなかった「忠臣蔵」を初めて読みました。
私にとっての『真説 忠臣蔵]』です。
武士として義に生き死した藩士たちの生き様、死に様が胸を打つ。
時代の流れ、人の思惑。抗えぬ波にのまれてしまったときに、人の思いはどれだけの抵抗ができるのであろうか。
結末はわかっているのに涙が止まりませんでした。
現代と違い、情報の伝達に時間がかかる中で、情報を共有し、疑い、活用する様は圧巻でした。
裏切り者の汚名を着てなお、義を尽くす姿は、まさに武士でした。
(文真堂書店 ビバモール 本庄店 山本さん)
一時期「冬の風物詩」とも言われていた忠臣蔵。
『いとまの雪』は、伊集院 静さんの言葉で育まれたまったく新しい忠臣蔵でした。
上下の長編でしたが、長さは気にならずサクサクと読めました。
そしてわかっている物語なのに、ほろりとしたり、ハラハラしたり、あっという間の感動物語でした。
「死ぬはしばしのいとま」死ぬことではなく、生きることの怖さを感じ、乗り越えていく強さも感じ、読み終えた今も感動しています。
(明林堂書店 大分本店 多田さん)
そして最後に、文芸評論家の細谷正充氏による書評のラストを紹介しよう。
さまざまな理由で、現在の日本の政治に対し、多くの人が不満を抱いている。
また、新型コロナウイルスの影響により、社会がどのように変容するのかという不安も大きい。
良雄(主人公・大石良雄)と同じく、「―― どこへ行こうとしているのだ?この国は…」といいたくなってしまうではないか。
そんな時代だからこそ、元禄と令和を通底させた、本書が深い意味を持つ。
今、この物語を書かねばならないという、作者の強い意志を感じる。
そこに伊集院 静という作家の生き方――すなわち美学があるのだ。
命の尊さ、生きることの難しさをあらためて考えさせられる昨今。元禄の世の武士たちが命を懸けた復讐劇とその精神から、現代を生き抜くヒントを得られるはずだ。感涙必至の長編歴史小説をぜひこの機会に読破いただきたい。
〈書籍情報〉
タイトル:『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』
著:伊集院 静
定価:上・下巻ともに¥1,870(税抜)
発行:KADOKAWA
発売日:2020年12月18日
初出:本作品は学芸通信社の配信により、京都新聞、山陰中央新報、徳島新聞、四国新聞、山陽新聞、神静民報、デーリー東北、夕刊フジ、南信州新聞、新潟日報の各紙に2019年2月から2020年12月の期間、順次掲載。
〈伊集院 静プロフィール〉
1950年山口県防府市生まれ。立教大学卒業後、CMディレクター、コンサート演出などを経て1981年『皐月』で作家デビュー。1991年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、1992年『受け月』で第107回直木賞、1994 年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞、2014年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で第18回司馬遼太郎賞を受賞。2016年紫綬褒章受章。主な著書に『日傘を差す女』『琥珀の夢』『愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない』『ガッツン!』「大人の流儀」シリーズなど。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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