上質なものを重ねることで、さらにリッチに輝く真冬の着こなしは、まさに「グレージュ」配色の真骨頂。
『Precious』2月号では、特集「真冬に纏う最新グレージュで、美しく際立つ!」を展開中で、女優・鈴木保奈美さんが「グレージュ」アイテムを美しく着こなしています。
その特集の中に掲載されている、鈴木保奈美さんが考える「グレージュ」についての寄稿をお届けします。
女優・鈴木保奈美さんが「グレージュ」を語る。「グレージュ…愛すべき気難しさ」
「出演していたドラマ『SUITS/スーツ2』に、こんな場面があった。
上司のオフィスの改装工事を監督している弁護士が、作業員にクレームをつける。『壁の色が違う。ボスのリクエストは"モグラ色"だ。これではただのベージュ、"モグラ色"ではない』
ちょっと違和感があった。これじゃモグラにこだわる妙なおじさんたちだ。気になって米国のオリジナル版を調べたら、原文はこうだ。
『It's not taupe. I mean, it might be tan,or beige with a hint of mauve. But it definitely isn't taupe.』"taupe"(トープ)は、フランス語で"モグラ"のこと。
色の名前となると、モグラの毛の灰褐色を表すという。だけど肝心なのは小動物の話ではない。ファッション業界人でもない、弁護士を生業とする中年の男たちがtaupe 、tan、 mauveといった色の表現を知っていること。それをわざわざ自室の壁の色に指定すること。
この1行の台詞に、彼らの教養と経験値と美意識の高さ、スノッブさと神経質さ、魅力的かつ面倒くさい、手強い人物であるということが見事に表されているのだ。
そうしてこれらのキャラクターといったら、まさに彼らが、そしてわたしたちが愛する"グレージュ"、そのものじゃない?
なめし革で、葉巻で、エクリュで、砂色で。そのどれでもあって、どれでもない。丁寧に繊細に扱って、決してペッタリとしたモグラやラクダにしてはいけない。一筋縄ではいかない、でも手懐けたら最高に心地よくなれる色、それが"グレージュ"だ。
例の台詞を、その意味合いに重点を置いて訳してみたら、こんな感じだろうか。『殿のご所望は伽羅色だ。今の壁の色は丁子茶か、煤竹色に梅鼠をかけたものと言えるかもしれぬが、断じて伽羅色でなければならぬ』
はあ、スノッブな殿でございますこと。」(女優・鈴木保奈美さん)
※掲載した商品は、すべて税抜です。
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- PHOTO :
- 浅井佳代子
- STYLIST :
- 犬走比佐乃
- HAIR MAKE :
- 福沢京子
- MODEL :
- 鈴木保奈美
- EDIT&WRITING :
- 小林 綾