上質なものを重ねることで、さらにリッチに輝く真冬の着こなしは、まさに「グレージュ」配色の真骨頂。

『Precious』2月号では、特集「真冬に纏う最新グレージュで、美しく際立つ!」を展開中で、女優・鈴木保奈美さんが「グレージュ」アイテムを美しく着こなしています。

その特集の中に掲載されている、鈴木保奈美さんが考える「グレージュ」についての寄稿をお届けします。

女優・鈴木保奈美さんが「グレージュ」を語る。「グレージュ…愛すべき気難しさ」

ニット_1,パンツ_1,帽子_1,靴_1
大胆なブレード編みが印象的なローゲージニットとはき心地満点のドロストパンツとのリラックスした着こなしもモカ系のグレージュで統一。ニット¥45,000(トランジット パーサッチ青山店)、パンツ¥59,000(コロネット〈ミラ・ショーン〉)、帽子¥120,000(ボルサリーノ ジャパン)、靴¥20,000(ハイブリッジインターナショナル〈ジョニーブルー〉)

「出演していたドラマ『SUITS/スーツ2』に、こんな場面があった。

上司のオフィスの改装工事を監督している弁護士が、作業員にクレームをつける。『壁の色が違う。ボスのリクエストは"モグラ色"だ。これではただのベージュ、"モグラ色"ではない』

ちょっと違和感があった。これじゃモグラにこだわる妙なおじさんたちだ。気になって米国のオリジナル版を調べたら、原文はこうだ。

『It's not taupe. I mean, it might be tan,or beige with a hint of mauve. But it definitely isn't taupe.』"taupe"(トープ)は、フランス語で"モグラ"のこと。

色の名前となると、モグラの毛の灰褐色を表すという。だけど肝心なのは小動物の話ではない。ファッション業界人でもない、弁護士を生業とする中年の男たちがtaupe 、tan、 mauveといった色の表現を知っていること。それをわざわざ自室の壁の色に指定すること。

この1行の台詞に、彼らの教養と経験値と美意識の高さ、スノッブさと神経質さ、魅力的かつ面倒くさい、手強い人物であるということが見事に表されているのだ。

そうしてこれらのキャラクターといったら、まさに彼らが、そしてわたしたちが愛する"グレージュ"、そのものじゃない?

なめし革で、葉巻で、エクリュで、砂色で。そのどれでもあって、どれでもない。丁寧に繊細に扱って、決してペッタリとしたモグラやラクダにしてはいけない。一筋縄ではいかない、でも手懐けたら最高に心地よくなれる色、それが"グレージュ"だ。

例の台詞を、その意味合いに重点を置いて訳してみたら、こんな感じだろうか。『殿のご所望は伽羅色だ。今の壁の色は丁子茶か、煤竹色に梅鼠をかけたものと言えるかもしれぬが、断じて伽羅色でなければならぬ』

はあ、スノッブな殿でございますこと。」(女優・鈴木保奈美さん)

※掲載した商品は、すべて税抜です。

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PHOTO :
浅井佳代子
STYLIST :
犬走比佐乃
HAIR MAKE :
福沢京子
MODEL :
鈴木保奈美
EDIT&WRITING :
小林 綾