マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。
結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドへと住まいを移した彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えします。
今回は、日本以上に感染が拡大し、年明けからロックダウンに再突入した英国での自粛生活のなかで見出した小さな喜びをご紹介。
ロイさんが暮らすバラクーダー村を取り巻く自然の美しさと、歴史的価値もある村の教会で行われている取り組みから感じられた、人と人のつながりの尊さをご覧ください。
白銀の輝きに包まれた、冬の自然の美しさを再発見
新年が明けて、あっという間に1月も終わろうとしています。
厳しいロックダウンの真只中、世界中の人たち皆が、笑顔でいられることを願いつつ、私たちも日々楽しみを見つけて過ごしています。
毎日の日課は、運動不足にならないようにお散歩です。
冬は日照時間が短いので、朝食後の午前中に1時間ほどバラクーダー村を散策しながら。キラキラの雪景色の中のお散歩は、冬の自然の美しさを発見できます。
朝起きて窓の外を見て真っ白。何度見ても「わあ~綺麗」っと、声に出してしまいます。
あまりに綺麗で、地面に足跡をつけたくないなぁと思いながらも、ザクザクと足跡をつけて歩く感触と音が、なんとも気持ちがいいのです。
曇り空の日でも、積もった雪でキラキラと明るく、木々もフェンスも全てが雪に覆われて、寒さも忘れて外に出るのも、楽しくなります。
お隣のフィールドにいる、モコモコの羊たちがおとぼけ顔でこちらを見ているので、羊たちに話しかけながら歩いていきます。
橋の上から見える山から流れる水は、スローモーションのようで、目が離せません。
冷たく澄んだ空気を感じて、音を聞いて、水しぶきを浴びながら、自然からの癒しのパワーを感じます。
村のどこへ行っても、おとぎ話のような冬の世界が広がっていて、どんどん歩いて行くうちに、ポカポカ暖かくなってきます。
橋の上に誰かが作ったファニーフェイスの雪だるまがちょこんと、「ちょっとおしゃべりしましょう」と話しかけるように、座っていました。
教会の入り口を飾るメッセージカードに込められた思いとは?
ヴォイル湖を過ぎて、ちょっと歩くと石造りの古い教会があります。
かつて、この美しいバラクーダー村をヴィクトリア女王が訪問したときに、教会から望むヴォイル湖を囲む雄大な山々と大自然の景観を目にして、「この景色に勝る場所はない」と日記に残したと伝えられています。
また、この小さな教会には、18世紀のスコットランドの英雄ロブ・ロイ(ロバート・ロイ・マッグレガー)のお墓があり、歴史的観光名所でもあるのです。
この教会では、日曜日のミサ、クリスマスと新年のミサ、結婚式や葬儀などが行われ、村に暮らす人たちにとっても欠かせない場所。でも今は、コロナの影響により閉まっています。
久しぶりに教会まで足を伸ばしてみると、入口にはたくさんのメッセージカードが綺麗に吊るされて、楽しげな雰囲気。これらが何なのかは、教会のドアに以下の内容が貼ってありました。
「Pause of thought; 思考を止めましょう。
ロックダウンが始まって、誰にでも静かなひと時を振り返る場所があればいいと思い込めて。
メッセージ、思い、願い、祈り、心配事や希望、または感謝。あなたが思うことなんでも自由に、置いてある紙に書いて、吊るしてください。
好きなだけ書いて、いつでも好きな時に戻って来てください。お家で書いて持って来てもいいです。
少し時間をとって他の人のメッセージを、読んでください。ソーシャル・ディスタンスに気をつけて、帰る前に手の消毒を忘れないように。──Balquhidder Parish Chuch」
そして、紙とペン、手を消毒するサニタイザーが、入口に置いてありました。
個人的な思い出、全ての人の幸せの願いや祈りなど、どれも思いやりに溢れた、人として大事なことがいっぱい詰まっているメッセージです。
家族や友達と会えない今、こうしたメッセージが間接的にでも、人と人を繋げていけることができると、心動かされました。
どうぞみなさん、元気で乗り越えていきましょうね。
そう、大丈夫! Everything will be all right!
今日のおすすめ「なごみワンコ」は…愛犬ビッツが勇ましく見えた静かなひと時
コテージから1時間ほど歩くと、村を一望できる丘 「Creag an Tuirc(クレゲンターク)」の頂上にたどり着きます。「クレゲンターク」は ゲール語で、「イノシシの岩」を意味するのだそう。
ビッツはここに来るたびに、写真の場所に長いことじっと立って、コテージがある方向を見つめていました。本当に静かに、身動きもしないで、怖がりのはずのビッツが、足をしっかり大地につけた姿は、とても勇敢に見えました。
ビッツが笑顔で駆け寄ってくるまで待っていた、私たち夫婦のプレシャスな思い出です。
以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載第6回をお届けしました。
ささやかだけれど丁寧で、センスのよさが随所に感じられる「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。次回はどんなエピソードが届くのか、ぜひお楽しみに!
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- TEXT :
- ロイ明美さん
- PHOTO :
- COLIN ROY