クルマとファッションの結びつきを最も強く感じさせるのが、クラシックカーのイベントだ。デザイナーの感性を前面に出して設計するのがあたりまえだった時代のクルマは、どれも普遍的な美しさにあふれる。そうした名車が集まるイベントで、クラシカルなゴーグルやキャップ、グローブ(ハンドルにパワーアシストのないクラシックカーでは必須の装備)などでコーディネートしたオーナーは、愛車と一体感があり、眺めているこちらもいい気分に浸れる。
現代の名車にも、そんな着こなしの統一性があっていいと思う。衝突安全性や生産効率、空力効果など、さまざまな条件を考慮しなければならない現代のクルマは、個性に欠けると思われがちだ。確かにクラシックカーほど大胆にはつくれないかもしれないが、デザイナーやエンジニアは常に数年先を見据えながら、ミリ単位で理想のスタイルを追求している。ラグジュアリーブランドの服や時計、靴と同じように。
だから、乗り手もクルマに込められたつくり手の思想を理解することで、「欲しかった一台を手に入れるまで」で終わりがちな、カーライフの先が見えてくる。着こなしにこだわることで暮らしに一体感が生まれるし、移動の時間から目的地で過ごすときの時間までが、より濃密な体験として心に刻まれるだろう。
「名車」に込められた思想を読み解く
たとえば写真のマセラティ『レヴァンテ』は、スポーツカーのイメージをSUVのスタイルに落とし込みつつ、イタリアらしい艶っぽさが感じられる一台。走り出せば、そのキャラクターはより鮮明となり、マフラーから聴こえてくる野性的な咆哮と鋭いハンドリング性能、スマートかつ頼もしいエンジンのパワーが、乗り手にたとえようのない高揚感を味わわせてくれる。そこに同じくイタリアの色気あるピーコートを組み合わせれば、週末の別荘で遊ぶ伊達男のスタイルが完成するのだ。
何をしても、どんなクルマに乗っても絵になる男たちがいる。彼らは皆、それぞれの美学を貫いている。揺るぎない哲学のもとで生まれるかっこよさを、今こそ手に入れよう。
Maserati Levante S GranSport ZEGNA PELLETESSUTA
ボディサイズ:全長5,000×全幅1,985×全高1,680mm
車両重量:2,140kg
エンジン:V型6 気筒ターボ
総排気量:2,979cc
最高出力:316kW(430ps)/5,750rpm
最大トルク:580Nm/1,700~5,000rpm
トランスミッション: 8 速AT
車両本体価格:¥ 15,363,637(限定車)(マセラティ コールセンター)
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MNE'S Precious2021年冬号より
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- PHOTO :
- 平郡政宏
- STYLIST :
- 大西陽一(RESPECT)
- HAIR MAKE :
- MASAYUKI(the VOICE)
- MODEL :
- Daisuke
- EDIT :
- 櫻井 香