2013年にデビューしたレクサス ISが、フルモデルチェンジ並みの大変身を遂げた。今回で2度目となるマイナーチェンジは、エクステリアやインテリアの大幅な手直しが施されている。精悍でスポーティなセダンとしてのキャラクターが際立ち、運転する楽しみも増している。
新鮮さと快適さ両面での進化
改良版のISは、新しくデザインされたヘッドライトと面積が拡大されたフロントグリル周辺のデザインに目がいく。精悍と表現するにふさわしい仕上がりで、これまでのデザインより彫りの深さが強調されている。
さらにエッジの効いたデザインのリアに回れば、クーペのようにシャープでスポーティな表情を見せる。エクステリア全体を見ると、ルーフ部分とウインドウの形状を除けば、もはや別物といっていいほどの変わりようで、それがまた格好良くまとまっている。欧米ブランドにも引けをとることのない、デザインで勝負できる存在が登場したといっていいほど、スタイリッシュなのだ。
体にぴたりと寄り添うホールド性のいいドライバーズシートに収まると、ここでもインテリアの変化が分かる。とくにタッチ式となったセンターディスプレイが、操作しやすいように手前へと移動したのは大きな変化。操作性や視認性の向上だけでなく、インテリアをぐっと新鮮に見せているのだ。
運転してわかるモダンなフィーリング
大きな変更は見た目だけに留まらない。今回の試乗テストは2リッターの245馬力、直列4気筒エンジンのIS 300 Fスポーツ(の特別仕様車「モードブラック」)だ。パワフルさはこれまで通りだが、新たなチューニングが施されていて、アクセルに対するレスポンスがかなり良くなった印象。スポーティなフィーリングが向上し、ドライビングの軽快さが増しているのだ。
その上で室内の静粛性はしっかりと確保され、ここでも上質さを感じさせてくれる。サスペンションの味つけも変更し、ボディも構造接着剤やスポット溶接を見直して剛性を高めた。これによって走りの味わいがずいぶんと上質に感じられるようになった。実際にはボディサイズが少し大きくなっているものの、運転感覚の軽快さや上質感が向上したため、むしろ小さく感じる。スポーティなFR(後輪駆動)セダンとして存分に走りを楽しめる内容だ。
マイナーチェンジと聞けば、その期待値は低くなるかもしれないが、今回のISの変身は、そんな予想をいい方に裏切ってくれる。さらにADAS(先進運転支援システム)のアップデートなど、安全システムの見直しも行われ、プレミアムサルーンとして不足を感じる部分はほぼ無くなったといえる。まさにフルチェンジに匹敵する変更で、かなりのレベルまでに仕上がった新しいIS。最近ではすっかり数が少なった手頃なサイズのFRのスポーツセダンを国産車から選択できることは、やはりうれしいことである。
【LEXUS IS300 “F SPORT Mode Black”】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,710×1,840×1,435mm
車両重量:1,640kg
駆動方式:後輪駆動
トランスミッション:8AT
エンジン:直列4気筒ターボ 1,998cc
最高出力:180 kw(245 PS)/5,200~5,800rpm
最大トルク:350 Nm/1,650~4,400rpm
価格:¥5,850,000
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- TEXT :
- 佐藤篤司 自動車ライター