ラグジュアリーマガジン『Precious』では、4月号から新連載『現代の紳士たち』がスタート! 本連載では毎号、現代において第一線で活躍する男性を取り上げ、その人ならではの考え方や魅力に迫っていきます。
初回である今回お話を伺ったのは、俳優の竹野内 豊さん。竹野内さんは、4月からスタートする月9ドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)で、11年ぶりに主演を務めます。俳優として活躍し続けてきたなかでの葛藤や、作品への向き合い方について語ってくださいました。
インタビューの前半は、こちらから。
頑なな心を溶かしてくれた、緒方拳さんの言葉(俳優・竹野内 豊さん)
そんな頃、緒形拳との出会いがあった。「結構長くやさぐれていたのですが(笑)、『瑠璃の島』というドラマでご一緒して、沖縄の鳩はと間ま島じまに長期滞在したんです。あるとき『散歩しようか』って誘われて浜辺を歩いた。そのとき言われたんです。『タケ、俺は頑固になることは、全然、かまわんと思う。ただ、どんなことがあっても、卑屈な方にだけはいっちゃいかん』って。
見透かされていると思いました。誰にも打ち明けられなかった葛藤を、役者であり、人生の大先輩でもある緒形さんには見抜かれていたんです。……恥ずかしかった。でも本当にありがたくて。緒形さんとの出会いは自分の人生の財産になっています」
竹野内にとっての忘れがたい光景だ。
「頭でっかちだったなと、気付きがたくさんありました。ひとりでは何もできないとか、苦しんでいたときは、結局、自分が自分自身を好きになれていなかったということなんだ……とか。あれから少しずつ仕事の取り組み方が柔軟になっていきました。もちろん今でも自分の芯の部分、大切にしている価値観を譲れないことはありますけれど」
今年、50歳となった。纏う、静かな大人のダンディズムは、ひとりもがきつつ、自身の俳優人生に真摯に向き合って生きてきた、その年月が醸し出すものだろうか。
「きっとムダな時間というのはないのだと思います。チームが一丸となって、よい作品をつくり上げようと命がけでやる。そういう現場にいられることが、なによりの喜びです。一本でも多く、観てくださる方の心に残る作品に携わりたい」
プロとしての美しい覚悟を感じさせる。「ただこの道をいくだけです」
※掲載した商品は、すべて税抜です。
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- PHOTO :
- 秦 淳司(Cyaan)
- STYLIST :
- 島津由行
- HAIR MAKE :
- ヤダチハル
- MODEL :
- 竹野内 豊
- EDIT&WRITING :
- 水田静子、小林桐子(Precious)