人生を重ねた大人だからこそ見えてくる、豊かな暮らしとは?をテーマに、雑誌『Precious』編集部が総力取材する連載「IE Precious」。
今回は、アートディーラー・ファビアーニ 美樹子さんのご自宅を紹介します。「自分の"好き"を大切に、選び、愛し、語れるものがある。それがアートと暮らす醍醐味です」と語る美樹子さん。絵画やオブジェなど作品が映えるよう、床や壁の色や質感にこだわった内装。元気や勇気、希望や心地よさをもたらしてくれるアートの魅力を存分に発揮させてくれるお住まいです。
「自分の"好き"を大切に、選び、愛し、語れるものがある。それがアートと暮らす醍醐味です」
どの部屋にも光が差し込む、明るい家。加えて、最上階のテラスからはエッフェル塔やグラン・パレなどを一望できる美しい景観。
この家で暮らすファビアーニ美樹子さんは、その「明るさと景観」が購入の決め手だった、と言います。
「当初住んでいた16区の家は、天井が高く開放感はあるけれど少し暗くて暖かさに欠ける場所。引越しを決めたとき、主人と話し合って最も大切にしたのは『明るさ』でした。実際の"明るさ"はもちろんですが、その場所がもつ"陽気"も含めて、一歩入った瞬間、いい! と感じる"気"って世界共通だと思います」
代々続く画商一家の長男である旦那様と結婚し、パリへ移住。自身もアートディーラーとして活躍する美樹子さんの自宅は一部、完全紹介制のプライベートビューイング・ギャラリーとしても機能しています。
1年かけた改装では、絵画やオブジェなど作品が映えるよう、床や壁の色や質感にこだわったといいます。
「特にダイニングの白い棚は、陶器のコレクションが美しく配置できるようオーダーしました。サロンの役割があるとはいえ、家には夫と私の好きなもの、思い入れのあるものしか置いていません。コロナ禍でステイホームが続くなか、好きなものに囲まれる心地よさが、より大切になっている気がします」
アートをうまく暮らしに取り入れるポイントはあるのでしょうか?
「自分のセンスをもっと信じてほしいと思います。大抵の場合、ご自身のチョイスに間違いはないんです。"好き"を大切に、長く愛せて語れるもの。それらは、元気や勇気、希望や心地よさをもたらしてくれます。アートと暮らす醍醐味はまさにそこ。値段や世間の評価、インテリアに合うかどうかは重要ではありません。好きだと思った作品は、不思議なことに必ずふさわしい場所が見つかります。そうそう、アートと暮らす最大のコツは"掛け替え"で遊ぶこと。気分によって気楽に作品の配置を変えてみてください。新たな魅力の発見にもつながります」
美樹子さんのHouse DATA
●間取り…リビング、ダイニング、キッチン、3ベッドルーム、3トイレ付きバスルーム、ドレッサー、家事室、トイレ、テラス、バルコニー
●家族構成…3人(夫と娘)
●住んで何年?…約2年
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious4月号』小学館、2021年
- PHOTO :
- 篠あゆみ
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)