おいしい「はんごろし」って何のこと?この週末、いただきたいおやつです!
明日は『春分の日』ですね。
「春分」は、天文学上は「太陽がちょうど黄径0度に到達した瞬間」を指し、その年によって日付が微妙に前後します。今年はそれが3月20日、ということになります。
「春分」といえば、「春のお彼岸のお中日」でもありますね。一般に、春のお彼岸(春分の3日前から7日間)には「自然をたたえ生物をいつくしむ」、秋のお彼岸(秋分の3日前から7日間)は「祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ」時期、と意識されています。お彼岸にお墓参りをなさる方も多いようですが、これは日本ならではの文化、と言われています。
…というところで、本日1問目のクイズです。
【問題1】「此岸」ってなんと読む?
「此岸」の読み方をお答えください。
ヒント:仏教用語としての「彼岸(ひがん)」の対語で、「悟りの境地」「死後の世界」というような意味での「彼岸」に対し、この言葉は「悩みの多い現実世界」を意味します。
<使用例>
「此岸に生きる者には、いろいろと悩みもつきものよね。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 此岸(しがん) です。
「彼岸」は「あの世」的な言葉、「此岸」は「この世」的な言葉で、類語としては「浮世」や「俗世」といったイメージでしょうか?
春のお彼岸にちなんで、知っておきたい言葉ですね。
…さて、2問目のクイズです。
【問題2】お彼岸につきものの「はんごろし」ってなに?
お彼岸につきものの「はんごろし」といえば、どんな食べ物でしょう?以下の選択肢の中からえらんでください。
1:牡丹餅
2:桜餅
3:草餅
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 1:牡丹餅(ほたもち) です。
もち米やうるち米を蒸したものと、あんこを合わせた、素朴な和菓子です。「おはぎ」とも言いますね。お彼岸のお供物の定番で、「棚から牡丹餅」ということわざにも出て来るなど、日本古来の「おいしいお菓子」のアイコンでもあります。
徳島県や群馬県の一部など、牡丹餅やおはぎを「はんごろし」と呼ぶ地域があるようです。中に入れるもち米のつぶし具合を「半分程度つぶす」牡丹餅、おはぎは「はんごろし」、よくついたお餅、つまり「お米が全部つぶれている」ものを「みなごろし」と呼ぶのだとか。
筆者が子どものころ、「はんごろし」「みなごろし」の出てくる面白い昔話を聞いたことがあります。旅のお客様を受け入れてあげたおうちで、お客様がお休みになっている間に、お客様にふるまうごちそうの相談を「はんごろしにするか」「いや、みなごろしに」…と相談していたところ、こっそりそれを耳にしたお客様が「ここにいては、ひどい目にあわされる!」とカン違いして逃げてしまった…という、愉快なお話でした。
本日は、春分にちなんだトリビアをお送りしながら、
・此岸(しがん)
という言葉の読み方と、
・はんごろし=牡丹餅(ぼたもち)
という、ちょっとおもしろい言葉のトリビアをご紹介しました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:大辞林第3版(三省堂)/『366日の昔話 福娘童話集』ホームページ
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱