働き方、生き方…さまざまな価値観が揺らぐ今、ときに自分を、未来を見失いそうにもなりますが、大丈夫! 私たちには"本"があります。目利き揃いの読書家たちが"今"を見つめた珠玉のブックセレクトをお届けします。
雑誌『Precious』5月号では特集「知的欲求を満たすニュー・ノーマル時代の読書案内」を展開中。その特集のなかから、本記事では「おうち時間」を楽しむためのご紹介します。
趣味を深める。ステイホームでわくわくする新しい世界へ
世界が一変し、暮らし方と住まい方、そして生き方の視点も変化した今、自分の内面を豊かに耕し、人生に実りをもたらす趣味時間を極める人が増えています。
「書道に陶芸など、自分の手を動かして作品をつくり上げる、そんなクリエイティブな時間を愛してきました。今回のステイホームでふと目に止まったのが刺繍の本。少女の頃の気持ちを思い出しながら、ひと針ひと針、縫い進めていくのが楽しいんです」そう語るのはスタイリストの青木貴子さん。
『BE-PAL』編集長・沢木拓也さんは、自宅でワイルドな塊肉料理を堪能し、本企画担当・喜多容子は、感性を潤すウクレレにトライ。アートディレクター・澤田翔さんは、インテリアの参考にもなる植物の洋書を手に入れ、グリーンに囲まれる暮らしをアップデートさせているそう。
外出がままならなくても、行動が制限されても、私たちの創造の泉が枯れることは決してない――。これらの本から、そんなメッセージを感じ取ることができるはずです。
スタイリスト・青木貴子さん推薦!|『1色刺繍と小さな雑貨』、『2色で楽しむ刺繍生活』
植物や動物などモチーフの刺繍から、それらを愛らしい雑貨に仕上げるまで、丁寧に、実用的に解説。
「最近は動画で覚えることもできますが、私はあえて本から学びたい派。ページをめくって、お手本を見つめて、ステッチの手順を眺めて…そうやってじっくりイマジネーションをふくらませていくのがこのうえなく楽しいから。
針を刺している間は頭の中が空っぽに。作業に没頭することで、心身がリフレッシュされるのも心地いいんです」
アートディレクター・澤田 翔さん推薦!|『LEAF SUPPLY:A GUIDE TO KEEPING HAPPY HOUSEPLANTS』
「花の絵葉書を毎月送ってくれた華道家の祖母をもち、ガジュマルの根元に盆景のような小世界を見出したのが10歳の頃。今では約40種の植物に囲まれています。
リビングや庭で過ごす時間が増え、美味しいコーヒーを飲みながら『こんなところに住みたい』と妄想する際に手に取る一冊。装丁、レイアウト、書体はシンプルかつ丁寧で、ページをめくるリズムがとても心地いい。家を建てる、引越しをする人への贈り物にも最適です」
『BE-PAL』編集長・沢木拓也さん推薦!|『栗原心平のごちそうキャンプ メスティン・スキレット・ダッチオーブンでつくる極旨レシピ』
人気料理研究家、栗原心平さんによるキャンプ料理の指南本。「著者自身がキャンプにハマっているので、つくりやすいよう材料もシンプル。ローストビーフに豚肩のチャーシュー、そして丸鶏のローストまで自宅で気軽にチャレンジできます。
イチ推しは『鉄板5種ソース』。なかでも鶏がらスープのもとにニンニクを効かせた『レモンペッパーソース』は最強。漬けダレとしても、そのままかけてもOK。肉はもちろん、麺類にもベストマッチします」
『Precious』・喜多容子推薦!|『いきなりウクレレ!地球一かんたん家庭音楽』
「ステイホーム中にウクレレをマスターしようと思い立ち、YouTubeで出会ったのがガズさん。その人柄に惹かれて、エッセイも買いました。巻末の誌上レッスンに『最初に覚えるコードは3つでOK』とあり、それを信じて3日間猛練習。姪っ子の誕生日にドヤ顔で『Happy Birthday』を披露しました(笑)」
急性骨髄性白血病を発症し、骨髄移植を受けた著者の生き様が、明るく強く描かれる。自由に音楽を楽しむ大切さがメロディのように心に響く一冊。
※掲載した商品はすべて税込です。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious5月号』小学館、2021年
- PHOTO :
- 唐澤光也(RED POINT)
- WRITING :
- 本庄真穂
- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)