雑誌『Precious』5月号から新連載「My Action for SDGs 続ける未来のために、私たちがしていること」が始まりました。

本記事ではザ・サーキュラー・プロジェクト代表のパロマ・G・ロペスさんの活動をご紹介します。

パロマ・G・ロペスさん
ザ・サーキュラー・プロジェクト代表
大学でジャーナリズムを専攻。ドイツ系テレコム社で14年勤務したが、スペイン経済危機により退職。’14年に「ザ・サーキュラー・プロジェクト」を立ち上げる。共存可能な社会を目指す企業が参加する協会の幹部でもある。

無駄と負荷のないファッションを目指し、好循環を生む妥協のないチャレンジ

「完全に還元できるファッションの世界を」。それが、パロマさんが立ち上げた「ザ・サーキュラー・プロジェクト」の理念です。

マドリードサステイナブルファッション協会の本部にもなっている彼女の店で取り扱う洋服は、環境に配慮した素材を使用しているだけでなく、型紙をとる際にも余り布が出ないようにデザインされ、生産過程で関わる人たちに適正な金額が支払われるシステムでつくられており、そもそも需要があってからの供給で、ストックも出ません。

そして、長く着られる。着られなくなったら、リサイクルできるかどうかも考える。「少なく、よいものを買う」概念自体を、広げていこうとしているのです。

「’14年に店をオープンしたときは、まだまだ世の中にサステイナブルという言葉が浸透していなくて、よく『小さな洋品店をやってるんでしょ?』みたいな言われ方をされました。最初から私の店は、テキスタイル界が抱える問題を解決するための実験の場でもあったんです。

私たちはこれ以上、地球上の資源を濫用することはできません。私は、洋服を売りたいのではなく、社会を変えるためのコンセプトを伝えたいのです

SDGsの現場から

サステイナブルに特化したショーをオンラインで開催

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’14年から多数のブランドとともに行う「サステイナブル ファッションショー」を今年も開催。

環境負荷や労働条件、多角的に「循環するファッション」を考える

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素材の栽培が土地にストレスを与えていないか、リサイクルが可能かも考え、商品を販売。

毎年行う他ブランドとのファッションショーでは、二酸化炭素排出量を計測。その分をショーのあとで植樹するという徹底ぶり。循環経済を学ぶ教室を開催したり、「スペイン、フランス、ベルギーにわたるテキスタイル業界対象の諮問機関をつくる」計画を提出し、それがEU議会の承認を受けたりと、精力的に活動を続ける。

「じっとしていられない性質なので(笑)」と言うパロマさん。その高い理想と広い視野、魅力的な人柄が、社会をあるべき姿へ導きます。

SDGs(持続可能な開発目標)とは

’30年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成。

この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
BY :
『Precious5月号』小学館、2021年
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PHOTO :
Javier Peñas
WRITING :
Yuki Kobayashi 剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)