スーツやフォーマルウエアの仕立て服店の主人・カッターの立場からお話しします。その観点では、ドレスシャツの基本は3つに集約されます。つまり、シャツを着用されたときに見るべき3つのポイント、適正サイズ、襟の見え方、生地選びです。

まず最も重要な適正サイズについて。多くの方が着用されているシャツは、袖が長めです。あまり抵抗なく、長い袖丈で着用されている気がします。シャツの袖は、腕を前に伸ばしたり、上げたりするため、ある程度余裕のある長さが必要ですが、それにしても長い。カフの周囲が大きいのも原因でしょう。手首の位置で袖が留まれば、つまりカフのボタンを留めて位置が固定されれば、少し袖丈が長くても見た目は綺麗になります。あまり意識されない、カフの大きさも気にしてみてください。

フォーマルやスーツだけではなくシャツの注文にも対応する

高級仕立て服の名門 「髙橋洋服店」

襟型のサンプルを飾る店内。同店のスーツに合わせて、シャツの注文も受けている。生地の種類にもよるが、オーダーシャツは¥20,000~で仕立てられる。正統のスーツと抜群の相性だ。

襟も大きいサイズを好む方が多いですね。首回りの目安は、襟と首の隙間に指が2本入る程度がいいでしょう。若干、大きく感じる見立てかもしれませんが、何度かシャツを洗濯した後、ちょうどいいサイズになる、という考え方です。洗濯を繰り返すと、おおよそ1〜1.5cmほど縮みます。

アームホールも大きいものはふさわしくありません。スーツの仕立ては、アームホールを小さく作るのが基本ですから、シャツの脇に余分な生地がたまっていると着心地がよくありません。既製のシャツは概して、アームホールが大きめに作られているため、注意して選ぶことです。

肩幅も、広めが快適と考えている人がたくさんいます。シャツの肩幅は、狭いほうが二の腕が動きやすくジャケットとのなじみもいいですね。 ふたつ目のポイントが、襟の見え方。理想をいえば、ジャケットからシャツの襟が1〜1.5cmほど覗くと美しい。タイスペースも注意してください。芯地の入ったジャカードのタイが好みの方は、シャツの襟を正面から見たとき、左右の羽襟が少し離れたデザインを選ぶといいでしょう。

最後のポイントは生地選び。色の基本の「き」は、やはり白です。淡いブルーや薄いグレーもいいです。今では、はっきりとした柄のストライプやチェックの生地も多彩にありますが、スーツやジャケットと合わせることを意識して、シャツを選びたいものです。 素材についていえば、ブロード(ポプリン)が最もオーソドックスです。コットンの糸が高番手になるほど、肌触りがなめらかで気持ちがいいのですが、180番手、200番手までいくと生地が繊細すぎると感じるでしょう。着ている間にシャツの細かいシワが気になるかもしれません。私の感覚では、140番手の生地が快適な着心地です。スーツに合わせるなら、120番手以上が目安になります。(談)

Shop Data

  • 髙橋洋服店 TEL:03-3561-0505
    住所/東京都中央区銀座4-3-9 タカハシ クイーンズハウス3F 日・祝日定休

※営業時間などの詳細は、店舗HPなどでご確認ください。 

<出典>
MEN'S Precious春号「この服とスタイルで生きていく!」
【内容紹介】竹野内 豊/この服とスタイルで 生きていく!/「変える」シャツ「、変えない」シャツ/「グレージュ」カジュアル/21世紀の「真名品」/ラグジュアリー・カー&ウォッチ/紳士の名品肌
2021年3月4日発売 ¥1,230(税込)

メンズプレシャス2021年春号の詳細はこちら

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2021年春号より
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PHOTO :
篠原宏明(取材)
EDIT :
矢部克已(UFFIZI MEDIA)
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