ミニクーパーで育った世代もいれば、シビックタイプRで育った世代もいるだろう。走らせて楽しいハッチバック(ホットハッチ)はいつの時代も魅力を失わない。2021年3月に日本で発売された「ルノー・メガーヌR.S.」もかなり印象的な出来映えで、いっきに気分が若返る。

公道で楽しめる範囲で楽しめるレーシーな乗り味

全長4410ミリ、全幅1875ミリ、全高1465ミリのハッチバックボディ。
全長4410ミリ、全幅1875ミリ、全高1465ミリのハッチバックボディ。
300馬力のエンジンと四輪操舵システムと専用セッティングのサスペンションをそなえる。
300馬力のエンジンと四輪操舵システムと専用セッティングのサスペンションをそなえる。

車名にある「R.S.」とは、フォーミュラマシンまで手がけるルノースポールの頭文字。モータースポーツの現場で培ったノウハウを量産車に活かして開発されたのが、メガーヌR.S.なのだ。

2018年に登場したのが、いまの3代目。今回のマイナーチェンジの眼目は、ひとつはパワーアップ。1798ccエンジンの最高出力は、従来の280馬力から300馬力(221kW)へと引き上げられた。

はたして、ドライブのおもしろさは抜群だ。6段ツインクラッチの変速機をDレンジに入れ、アクセルペダルに載せた足にほんのすこし力をこめただけで、はじけるように前に飛び出していく。このとき、アクティブバルブなる機構を採用してエグゾースト音を劇的に演出する技術がさらに気分を盛り上げてくれる。

いいのは、加速性。絶対速度はとにかく、公道で楽しめる範囲で、エンジンのレスポンスのよさと、たっぷりしたトルクと、さらに高回転域でのパワー感と、エンジンのよさを堪能できる。

操縦性も、サーキット走行まで視野にいれたこのクルマの持ち味だ。4輪操舵システムによるクイックなコーナリング特性に加え、つねにタイヤの踏面を最大限路面につけて駆動力のロスがないような設計のサスペンションシステムや、大容量のダンパーによる車両姿勢の安定など、あらゆる点で配慮がゆき届いているのだ。

安全・快適装備も充実

リアはデューザータイプのデザインが特徴的。
リアはデューザータイプのデザインが特徴的。
アダプティブクルーズコントロールやドライブモードセレクター「ルノーマルチセンス」を搭載。
アダプティブクルーズコントロールやドライブモードセレクター「ルノーマルチセンス」を搭載。

ステアリングホイールのグリップ部分や、バケットシートのからだが触れる部分には、すべり止め効果が高い人工スエードが採用されたのも、あたらしいメガーヌR.S.の特徴だ。クルマと一体化したような、すばらしい気分でドライブできる。

さらに今回は、スポーツ性能とはべつに、アダプティブクルーズコントロールやアクティブエマージェンシーブレーキ、さらにスマートデバイスとのイージーリンク機能なども搭載された。メガーヌR.S.には要らない気もするけれど、じっさいはこれで商品力がうんと上がるそうだ。

価格は464万円で、シビックタイプR(550万円)より90万円ほど安いのもうれしい。シビックのようにマニュアル変速機を望むひとには、さらに高性能な「メガーヌR.S. トロフィー」(494万円~)が用意されている。こちらには強化シャシーに加え、リミテッドスリップデフやローンチコントロールもそなわる。

バケットシートの中央部には滑りどめ効果の高い人工スエードが張られる。
バケットシートの中央部には滑りどめ効果の高い人工スエードが張られる。

問い合わせ先

ルノー

TEL:0120-676-365

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。