ファッションは時代の空気を先取るもの。かつてガブリエル・シャネルが時代を感じ取り、描いたヴィジョンに沿って創造された服やバッグ、ジュエリーの数々は新しい女性のスタイルとなり、意思ある女性たちの夢を支えました。
ダイヤモンド形のキルティングに、ダブルCのクラスプ、レザーをあしらったチェーンなど、ひと目でわかるアイコニックなディテールが羨望をかき立てるシャネルのキルティングバッグ「11.12」もそのひとつ。
雑誌『Precious』6月号では『永遠の輝きに心奪われるシャネル「11.12」、その尽きない魅力』と題し、時代を超えて愛される名品バッグの「今」に迫りました。
揺るぎないスタイルは時を超えて新しい!
まとうだけで圧倒的な存在感を放つ「シャネル」の2大アイコン、キルティングバッグ「11.12」とツイードジャケット。
雑誌『Precious』6月号では、モデルの冨永愛さんが今求められる、極上のゆとりと軽やかさを兼ね備えた最新のコレクションから、2大アイコンをまとった揺るぎないスタイルを紹介しています。
モノトーンの装いに、ひときわ気品溢れる佇まいの白い「11.12」。キルティングステッチがもたらす陰影が白にシックな奥行きを添えて、ツイードの贅沢な風合いと美しく響き合います。
メタリックゴールドのバッグは、ラムスキンのしっとりとした質感でゴールドも上品な印象に。
ラグジュアリーな白のツイードスーツの洗練を際立たせるには、アイコニックなフォルムかつ、色味を抑えて煌きらめきだけを添えてくれるこんなバッグが最適です。
【「揺るぎないスタイルは時を超えて新しい!」の詳細記事はこちら】
羨望のバッグが生まれるアトリエの秘密「サヴォアフェール」
フランス語で「サヴォアフェール」。英語の直訳「ノウハウ」とは、まるで異なる次元で語られる、フランス流エスプリの効いた言葉です。
そもそもこの表現が許されるのは、ファッションや時計宝飾において、クチュールレベルの細やかな手仕事と究極の美学を貫くブランドだけ。
いくつものクチュールの工房を傘下に収め、創業者ガブリエル・シャネルのDNAが100年もの時を超えて受け継がれる「シャネル」。そのものづくりを語るにあたり、「サヴォアフェール」ほどふさわしい言葉はありません。
職人たちにとっても、その美意識が全工程に息づいてこその最大限の賛美であり、誇りなのです。アイコニックなバッグ「11.12」の製作工程にも、まさに「サヴォアフェール」が感じられます。
パリ北部にある「シャネル」のメティエダール アトリエのひとつ「アトリエ ドゥ ヴェルヌイユ アン アラット」での製作風景。職人は4〜5年の修行を経て、このバッグの独特な手法と技術を習得します。
ステッチをかけた各パーツ。ガブリエル・シャネル自身の「エレガンスとは外側と同様に内側も美しいこと」という信念が、バッグにも取り入れられています。
【羨望のバッグが生まれるアトリエの秘密「サヴォアフェール」の詳細記事はこちら】
時を超えて愛される「11.12」の始まりと今
「バッグを手に抱えたり、なくしたりすることにうんざりしていたから、細長い紐を通して、弾薬帯のように肩から掛けるようにしたの」女性用のバッグといえば、小ぶりで装飾的なものが主流だった1929年。
ガブリエル・シャネルは、両手が自由に使える男性用のミリタリーバッグから着想して、機能的で女らしいショルダーバッグを発表しました。
ポケットに手を入れるポーズが気に入っていたガブリエルは、このショルダーバッグによって、動きが妨げられない自由と、心地よさを手に入れたのです。
戦時下からの長いブランクを経て、ガブリエルが71歳でモード界に復帰した翌年の1955年2月。チェーンを通す鳩目の付いたモデルが発表されました。これが伝説の「2.55」の始まりでした。
自身がデザインしたバッグ「2.55」をかたわらに携えたガブリエル・シャネル。シンプルなツイードスーツに合わせるのは、パールのネックレスと共に、チェーンが煌くお気に入りのバッグでした。
女性が働くことさえ難しかった時代から、常に革新的な創作を続けて、諦めることなく、生涯をかけて新しい時代の女性の生き方を見せてくれたガブリエル・シャネル。「2.55」は、どこかそんな自由な生き方まで感じさせてくれるからこそ、女性たちに支持されてきたのです。
ガブリエルの没後、そのスタイルはカール・ラガーフェルドによって継承されます。時代を読み取る才能に長けた彼によって「2.55」に新しい解釈がされて、「11.12」が誕生しました。
それは1980年代の半ば、だれもがラグジュアリーを求め、オートクチュールも勢いを取り戻した時代。「11.12」にはチェーンにレザーが編み込まれ、「マドモアゼル」クラスプと呼ばれるスクエア形のクラスプをダブルCに変えたことで、さらにアイコニックな魅力を増して、メゾンを象徴するアイコンバッグへと進化したのです。
一昨年、ガブリエル以来、“シャネル”2代目の女性アーティスティックディレクターとして、ヴィルジニー・ヴィアールが就任。
ヴィルジニーは新しい時代を生き抜く活動的な女性たちに向けて、「11.12」のタイムレスな魅力を再評価したのです。コレクションごとに新しい素材のバリエーションを加えながら、クチュールメゾン「シャネル」の「サヴォアフェール」を体現するバッグは新たな輝きを増しています。
【時を超えて愛される「11.12」の始まりと今の詳細記事はこちら】
※掲載した商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 岡本充男(人物)、唐澤光也(RED POINT/静物)、(C)CHANEL
- STYLIST :
- 小倉真希
- HAIR MAKE :
- Dai Michishita(ヘア)、津田雅世(mod’s hair/メイク)
- MODEL :
- 冨永 愛
- EDIT&WRITING :
- 藤田由美、古里典子(Precious)