雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私たちがしていること」という連載で、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目しています。
今回は、セイラーズフォーザシー日本支局理事長の井植美奈子さんの活動をご紹介します。
海洋プログラムの普及に邁進、サステイナブルな海を未来につなぐ
自らもヨットマンとして有名なロックフェラー家の当主、デイビッド・ロックフェラーJr.。彼が設立したNGO「セイラーズフォーザシー(SFS )」の日本支局を立ち上げたのが、井植さんだ。SFSが考案した、ヨットレースがより環境に配慮したものになるためのプログラム「クリーンレガッタ」は、ペットボトルの削減からマリーナの芝生の農薬管理まで多様な項目があり、世界中のレース主催者が取り組んでいる。
また、日本支局では「ブルーシーフードガイド」 の普及も大切な活動だ。井植さんは、デイビッドから、「アメリカにはシーフードウォッチといってどの魚がサステイナブルかの度合いを示すリストがあるんだ」と聞いた瞬間、「日本でもやりたい」と強く思った。
「枯渇しつつある海産資源の現状とこれだけ魚介が好きな日本人にとって、日本版リストは、絶対に役に立つと思いました」
プロジェクトはすぐに動きだし、海産物の資源状態や生態系への影響、漁業管理体制などを専門チームが科学的に評価するメソッドを開発し、プログラムを完成させた。
SDGsの現場から
世界の女性リーダーが集結。海洋改善に取り組む
海洋環境の改善を行うプラットフォーム「Leading Women for the Ocean」の設立を指導。
370名のゲストを招きチャリティイベントを毎年主催する
中央のロックフェラー氏と日本支局のスタッフと理事たち。370名のゲストが参加。
「この活動に自治体やホテル、大学や飲食店など多くの団体が賛同してくださり、ブルーシーフードを優先的に提供するなどの取り組みが広がっています」
井植さんが日本支局を立ち上げてから10年。状況は一変した。
「特にSDGsが掲げられてからは、日本が低い評価を受けている海の環境保全(*)への改善に国や企業が動き始めました。私たちの活動の注目度も上がり、多くの人が加勢してくださっています。今後も、次世代の先の環境まで想像しながら、美しい海をつないでいくために、着実に進んでいきます」
海の環境保全とは
日本では昨年「改正漁業法」の施行や「水産流通適正化法」が可決。獲り放題といえる漁業からようやく持続可能な漁業へ舵が切られた。
SDGs(持続可能な開発目標)とは
2030年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成。
- PHOTO :
- 篠原宏明
- WRITING :
- 大庭典子
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)