43年、７世代にわたって世界の小型ハッチバック車の規範となってきたフォルクスワーゲン（以下、VW）の「ゴルフ」。現行の７代目は従来型よりもボディが長く、広くなったが、全高は抑えられ、スポーティな印象が強まっている。そのせいか、数あるバリエーションのなかでも、特に高性能モデルの「ゴルフR」や「ゴルフGTI」にこれまで以上の魅力を感じるのは、気のせいではない。2017年春には、大型化したメーターや先進のインフォテイメントシステム、安全装備を充実させ、さらにこの秋からは魅力的な限定車や新モデルが加わった。常に時代の先を行く「ゴルフ」の「今」を紹介する。
スポーティな現行「ゴルフ」の良さを味わうならこれ！
まずご紹介するのは、「ゴルフGTIパフォーマンス」（500台限定）。エンジン性能などを高めた高性能仕様の「ゴルフGTI」は、初代からラインアップされてきた。その切れ味鋭いハンドリングと爽快な走りは最新型でさらに突き詰められているのだが、この秋登場の限定車は最高出力を15馬力高めるなどのパフォーマンス向上を果たしているうえ、視覚的にもスペシャルモデルであることを主張する装備が付く。特にトランスミッションは、従来の６速DSG（デュアルクラッチ式AT）が７速となり、高速クルージングでは経済性の向上と共に、より静かで快適な乗り味が実感できる。もちろんアクセルを深く踏み込んだ時の爽快感は格別で、同じく強化されたブレーキシステムが、強めの制動時にもしっかりとスピードを落としてくれる。それでも物足りない人向けに、さらなる高スペックを誇る「ゴルフR」もあり、こちらの限定車も100台発売されたのだが、個人的にはスポーティさと普段使いでの快適さをバランス良く味わえる「ゴルフGTI」の方が、乗り続けても飽きがこないような気がする。
時間をかけて開発したモーター駆動の「ゴルフ」
もう１台は、VWでは初となるEV、「e-ゴルフ」だ。一回の充電で走れる距離は、カタログ上301kmで、使用状況によってその距離が大幅に短くなったとしても、日本で主流の急速充電器（チャデモ）に対応しているため、不便を感じることは少ないだろう。実は筆者、数年前にプロトタイプを試乗したことがあるのだが、バッテリーこそラゲッジを占拠していたものの、その走りは当時から洗練されていて、長い時間をかけて信頼性を高めてきたところに、VWというブランドの強さを感じた。なお、どうしても航続距離に不安があるのなら、外部充電可能な「ゴルフGTE」という選択肢もある。
もともとコンフォートなモデルから硬派なモデルまで、広いモデルレンジを誇っていた「ゴルフ」は、ここにきてさらなる広がりを見せている。それは、限りある資源の将来を見据えた、企業としての盤石の取り組みであると同時に、細分化するライフスタイルへの細やかな対応でもある。だから、加速の気持ち良さとか静粛性、快適性といった細かな部分にこだわっても、理想の「ゴルフ」は必ず見つかるし、そんなクルマはほかにない。見た目にそれほど大きな違いはなくても、味付けは充実しているなんて、なかなか贅沢だと思う。
〈フォルクスワーゲン・ゴルフGTIパフォーマンス〉
全長×全幅×全高：4,275×1,800×1,470㎜
車両重量：1,430kg
排気量：1,984cc
エンジン：直列4気筒DOHCターボ
最高出力：245PS／5,000〜6,700rpm
最大トルク：370Nm／1,600〜4,300rpm
駆動方式：2WD
トランスミッション：7AT（DSG）
価格：456万円（税込み）
■問い合わせ先 フォルクスワーゲン
TEL：0120・993・199
http://www.volkswagen.co.jp
〈フォルクスワーゲン・e-ゴルフ〉
全長×全幅×全高：4,265×1,800×1,480㎜
車両重量：1,590kg
モーター：100kW（定格出力）
最高出力：136PS／3,300〜11,750rpm
最大トルク：290Nm／0〜3,300rpm
駆動方式：2WD
トランスミッション：１段固定式
価格：499万円（税込み）
■問い合わせ先 フォルクスワーゲン
TEL：0120・993・199
http://www.volkswagen.co.jp
- TEXT ：
- 櫻井 香 記者
