旅先では都会とはひと味違った装いを楽しみたいもの。さまざまなシチュエーションや行先にふさわしいおしゃれを、4人の旅の達人=ファッションプロに聞きました。センスが光る、リアルな私物コーディネートは必見です。
■1:フリーランスPRの右近麻美さんがスペイン・マヨルカ島を訪れたら?「地中海リゾートで映えるのは、欧米マダム風のシックな着こなし」
「4年前に訪れたマヨルカ島は、透明度の高い海やおいしい食事、島独特の建築物、文化など思い出すことが多く、再訪したい場所。ヨーロッパの高級リゾート地では、たたずまいがエレガントなマダムの姿をよくお見かけするので、その地になじむよう、リラックス感がありながら、どこかにシックなテイストをプラスしています」
【Scene01】機内では… リラックス感のなかにもきちんとした印象をキープ
No.21のTシャツ、ゆったりシルエットのヘルムート ラングのパンツを核に白で統一。コンパクトにたためるクルチアーニのニットジャケットをはおり、着心地はリラックス、見た目はきちんとを目指します。羽のように軽いブルーのストールは、こなれ感が加わり、しかも防寒対策にと機内でも大活躍。手元のダミアーニの白い時計はバングル代わりにも。
【Scene02】ホテルのプールでは… モノトーンと鮮やかプリント2タイプの水着を持参
黒のスイムウエアの場合は、美シルエットかつサプライズのあるデザインを選択。このAraksの水着は背中が大胆に開いた遊び心あふれるデザイン。さらにプレインピープルの白いガウンをさらりとはおれば、プールサイドでもていねいに扱われる、洗練されたカジュアルに。
【Scene03】旧市街でディナー あえてメンズライクなシャツドレスでこなれ感を演出
バルバのドレスは島の夕暮れに映えるマキシ丈。イエローのクラッチを差し色に、ウェッジサンダルなどの小物で、こなれたフェミニンスタイルに。仕上げはダミアーニのリングとゴールドブレスレットで盛り上げて。
■2:スタイリストの伊藤美佐季さんがイタリア・パドヴァを訪れたら?「普段の私服より少し華やかな装いで」
「のんびりとイタリア郊外のホテルに泊まる旅をイメージしました。装いは普段同様、シンプルベーシックなアイテムが中心ですが、海外では『シンプル=地味』に映ることもあるので、大ぶりアクセサリーや色小物で、少しだけインパクトを加えます。キャッチーなアイテムで、地元の方と会話が弾み、意外な情報が得られることも」
【Scene01】教会など、街を散策 厳かな場にふさわしい、紺がベースの地味派手スタイル
気楽に着られるセリーヌのセットアップは程よいきちんと感もあり、散策にぴったり。ドルチェ&ガッバーナのバッグとストールをブルーでリンクさせ、華やかさをプラス。大ぶりのフープピアスとバングルも旅先ならでは。
【Scene02】ホテルで朝食 照れずに“全身白”が楽しめるのも、海外ならでは
東京では、全身白を着ることはまずないけれど、「高級リゾートホテルの朝食シーンで、おしゃれなマダムは“白”が多い!」と作家の光野 桃さんから聞いて以来、旅の定番に。実際「なんとなく気分が上がる」とか。食後は着替えてお出かけ。マルニのトップスにカレントエリオットの白デニム、セリーヌのバッグに足元は白スニーカー。
【Scene03】郊外のレストランでディナー 少し日焼けした肌に、カーキとゴールドが映えて
「以前訪れた際、アートなインテリアが印象的だったので、黒よりカーキが似合うかな」と、アレキサンダーワンのワンピースを選択。ペンダントと、レオパード柄にスタッズがポイントのサンダルで、ゴールドを効かせて。
■3: LYDIA代表の本田美奈子さんがイタリア・ピエモンテを訪れたら?「さりげない上質感をキーワードにした、別荘でのバカンス服」
「北イタリアにあるピエモンテは、 “スローフード”という言葉が生まれた素朴な田舎町。とはいえ、近くにはミシュランの星のあるレストランがあったり、とても洗練された側面も。基本は別荘暮らしを楽しむためカジュアルですが、『よく見るとさりげなく上質』なものを身につけて、大人の女性らしさを心がけています」
【Scene01】機内では… 大切なのは着心地と上質感。ラフすぎるものは避けて
ゆったりと体を包み込むようにフィットするキートンのジャケットなら、機内でもリラックスして過ごせそう。「欧米の方は想像以上に身なりのチェックが厳しいので、移動といえども、上質で仕立てのよい服を選びます」
【Scene02】ディナーへ… 大好きなミッソーニはシーズン毎に必ずチェック
都会では「少し着るのにためらう」と感じるくらいの色味や透け感が、バカンスのドレスアップにはちょうどいい。「かっちりとしたフォルムの服やピンヒールのパンプス、黒い服などは持っていきません」。ミッソーニの上質さと快適な着心地が、この条件にベストマッチ。「日没が遅いイタリアのバカンスには、ディナーであってもサングラスがマストアイテム」。メッシュのバッグはエルメス、サンダルはプラダ。
【Scene03】現地のスーパーへ… 脚は少し日焼けしたいのでショートパンツが活躍
近くのビーチやプールで過ごすときは、動きやすさ、丸洗いできる素材など、実用性を重視したスタイルで。カロリーナ ケーのガウンは、「はおるだけでおしゃれな街着に変身」できる便利アイテム。トップスはクルチアーニ、サングラスはマックス ピティオン。
■4:Preciousファッションディレクター・吉川 純が晩夏の沖縄を訪れたら?「沖縄のリゾートで気楽に過ごす、リラックスした旅スタイル」
自然、歴史、食事…と、すべてが豊かな沖縄を年に一度は訪れています。今年はオープンしたての「ウザテラス」に。晩夏の沖縄は意外に肌寒い日も多いので、カシミアやダウンベストは必需品です。ディナー用にエミリオ・プッチのドレスなど、エレガントな装いも持っていきますが、日中はアウトドアカジュアルを楽しんでいます。
【Scene01/左】機内では… シックな色味を重ねた大人カジュアル
着てラクで、温度調整の効くスタイルが最優先。「荷物を減らす目的も兼ね」タンクトップに長そでTシャツ、ヘルノのダウンベストをレイヤード。履き心地抜群のイグアナアイのシューズは夏旅に最適。バッグはフォンタナ。
【Scene02】那覇までドライブ… ベージュ×白×ゴールドでリッチカジュアルに
「日常でもベージュを着る機会が多いのですが、くすんだ印象にならないよう、〝黄みベージュ×白〟を健康的に着こなします」。特に顔周りには意識して白を配置。カシミアニットはラルフ ローレン、ショートパンツはジェームス・パース。UGGのサンダルとフレッドのブレスレットで、さりげないモード感を。
【Scene03】プールサイドのバーで… 大人の女性こそ、ビーチスタイルでおしゃれを
マディソンブルーのパイル地スカートは、トップスとのセットアップ。「見た瞬間、ネイビーのビキニに合わせたいと衝動買いしました」。複数持参する水着はそれぞれ必ず、パレオなどとコーディネートして。ビキニはJ.CREW。
以上、4名の旅の達人の夏コーディネートをお届けしました。日本にいるときとはまた異なる、心踊るデスティネーションごとのスタイリング術を、バカンスに持参するアイテムの参考にしてみてくださいね。
- クレジット :
- 撮影/小林美菜子 文/河西真紀