雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。

8月号では女性特有の疾患ケアをテーマに、商品開発に取り組む「Be-A Japan代表取締役の山本未奈子さんの活動をご紹介します。

山本未奈子さん
Be-A Japan 代表取締役
(やまもと みなこ)N.Y.の美容学校を卒業後、同校で教鞭を執る。帰国後、’09年に「日本一、女性を幸せにする会社」をビジョンに、MNC New York Inc.を設立。美容ブランドのほか、超吸収型サニタリーショーツブランド「Be-A」を立ち上げる。

革新的なサニタリーショーツで女性の未来をもっと心地よく、前向きに

今話題の「フェムテック」(*)。女性が抱える健康への課題をテクノロジーの力で解決する商品やサービスのことで、フィメール(女性)とテクノロジーをかけた造語だ。

フェムテック(Femtech)とは…フィメールとテクノロジーを表す造語。生理痛の改善や妊娠中のQOL向上、更年期障害の改善、女性特有の疾患ケアなどがテーマに。

山本さんが手掛けるフェムテックブランド「Be-A」が開発したのは、一枚はくだけで1日を過ごせる超吸収型サニタリーショーツ。販売を前に昨年6月、クラウドファンディングを行ったところ、45日間で1億円超の資金を集め、多大な賛同を得た。だが、ここまでの道のりは長かった。

「日本のものづくりの高い技術があれば、十分な吸水量のショーツができると思いましたが、最初は門前払いの連続でした。メーカーからは『その吸水量は不可能』『売れるわけない』と何社にも断られ続け、私たちの理想を形にすることの難しさを痛感しましたね」

それでも、つくれば必ず需要があるはず、女性の新しい選択肢になると諦めなかった。そしてついに尿もれショーツの分野で日本屈指の技術を誇る工場と出合う。彼らと試作と改良を重ね、2年半の時を経て完成したショーツは、職人の手で1枚ずつ縫い付ける吸収体や、蒸れないための緻密なつくり、腹部の温もり設計、ジェンダーレスなデザインなど技術とこだわりが満載。特に高い壁だった約120ml(多い日の平均量の約3倍)という革新的な吸水量もクリアした。

【SDGsの現場から】

SDGs関係の講演会やオンラインイベントにも登壇

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女性開発者として、困難や逆境を乗り越えた山本さん自身の体験も踏まえながら講演。

女性も大志を抱こうブランド名の由来はGirls be ambitious!

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60年間、大きな変化のなかったサニタリー用品に並び、吸水ショーツが新たな選択肢に。


「あの日の憂鬱さが軽減したとの声や、なかにはサニタリー用品を買うのが嫌だったというトランスジェンダーの方から、この商品に出合えて本当によかったとの感想も届いて、胸が熱くなりました。今後も女性特有の悩みによって何かを諦めることなく、前向きに過ごす手助けができるよう改良を重ねていきます」

PHOTO :
望月
WRITING :
Yuki Kobayashi、剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子(Precious)