ムートンアウターを買う前に徹底的に考えたいのは、それが長年の着用に耐えるものなのか?ということ。その点最も大切なのは、最上級の素材である。安価なムートンは重いし手触りも悪いので、絶対にすぐ飽きてしまう。多少予算は張ろうとも、レザー使いに長けたメゾンブランドから選ぶのが正解なのだ。そして次なるポイントは、シルエット。1980年代のオーバーサイズや近年のスーパータイトなど、トレンドから影響を受けすぎたものは、素材がどんなによくても数年で着られなくなってしまう(苦い思い出のある方も、多いですよね?) うれしいことに、今季は中庸ともいえるほどよいシルエットを備えたムートンアウターが、メゾンブランドからたくさん登場している。10年後、20年後のヴィンテージとなりうる一着を、この機会に選ぼうではないか!
BRUNELLO CUCINELLI/ブルネロ クチネリ
うれしい機能も備えた長年愛せる一着
滑らかなファー仕立てにした極薄のムートンコートは、圧倒的な存在感とは裏腹の、軽やかな着用感が魅力。しかし撥水加工により汚れや水滴には強いから、淡いベージュであっても安心して日常使いができる。ライトグレーのニットやパンツと合わせるような、繊細かつ贅沢な着こなしを楽しみたい。
BERLUTI/ベルルッティ
洒落た色味で差がつくフレンチ流ムートン
ごくプレーンなデザインながら、まるでマラケシュの赤土のような鮮やかなブラウンをまとった、フレンチブランドならではの極上ムートンコート。ボタンの留め方によって雰囲気に変化をつけられる、ダブルブレストという点も魅力だ。コートと同様に全身ブラウンカラーでまとめれば、落ち着きと華やぎを併せ持つスタイルに。
LANVIN ランバン
真冬の海が似合うピーコート風ムートン
どっしりとしたハーフ丈の肉厚ムートンコート。落ち着いたブラックカラーや、合わせの深いシングルブレストという大人っぽいデザインが、往年のフレンチシネマを思わせる一着だ。錨マークをあしらったボタンや、肩やそで口、ポケットの縁などに配したスムースレザーも、洒落たアクセントとして効いている。こんなコートに合わせるアイテムは、1960年代っぽいタートルネックニットしかない!
BOTTEGA VENETA ボッテガ・ヴェネタ
どこか懐かしさを感じるナチュラルな素材使い
ちょっと巻き毛気味のナチュラルなムートンにホーン製のトグルを配して、ショート丈のダッフルコートのようなデザインに仕立てた一着。そのラグジュアリーながら気どらない雰囲気は、デニムなどのカジュアルなパンツとも相性抜群だ。襟を立てて、無造作に着るのが格好いい。実はリバーシブル仕様で、シアリング面を表にして着ることも可能!
HERMÈS エルメス
ムートンの常識を覆すターコイズの鮮烈
アントラシト(ダークグレー)とターコイズブルーという鮮やかな色使いに惹かれる、シアリングパーカ。いわゆるボンバージャケットとはまた違う、モダンなデザインも魅力的だ。配色とデザインにばかり目がいきがちだが、素材にはベビーラムが使われており、もちろんその手触りは抜群。どんなに大胆に見えても、エルメスのムートンは買って損なし。それは歴史が証明していることだ。
GIORGIO ARMANI ジョルジオ アルマーニ
アルマーニ流ミニマルムートン
ボタンを露出させない比翼仕立てで、スタンドカラー。切りっ放し風に仕上げた襟。ブラックに近い、ダークネイビーカラー……。ジョルジオ アルマーニお得意の美意識をちりばめたムートンコートは、長年愛せるシンプルなデザインがうれしい一着だ。裏側はラグジュアリーなファー仕上げだが、決して毛足は長くないので、日本の気候にもぴったり。ウールのスラックスはもちろん、ジーンズなどにも合わせたい。
LOUIS VUITTON ルイ・ヴィトン
フレンチメゾンならではのミリタリームートン!
ミリタリーテイストのハードなデザインと、ヴィンテージ調の肉厚ムートンを融合させた、男の冒険心をくすぐるブルゾン。ウールカシミアのリブや、写真に写っていない左の身頃にルイ・ヴィトンの象徴たるトランクスタンプをあしらうなど、洗練をアピールする意匠も随所に盛り込んでいる。ぜひスラックスに合わせて、上品にコーディネートしたい。
LOEWE ロエベ
ラフに着こなしてこそ粋な最上級「ナパレザー」のムートン
最近では珍しくなった、1970年代を彷彿させるクラシックなムートンコート……しかもそれがロエベのものなら、手に入れぬ理由はどこにもない。素材にはもちろん最上級の「ナパレザー」が使われており、その質感はちまたのムートンとは別格である。見た目を裏切る軽さも自慢。こんな極上ものなら、往年のセレブリティを気どったラフな着こなしにも、知性と品格が宿るのだ。
PRADA プラダ
珍しいネイビーカラーのモダンなムートン
DUNHILL ダンヒル
DSQUARED2 ディースクエアード
SALVATORE FERRAGAMO サルヴァトーレ フェラガモ
HERNO ヘルノ
ETRO エトロ
以上、ラグジュアリームートンを14点紹介しました。冬を暖かく過ごす必須アイテムを取り入れてみてはいかがでしょうか?
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年冬号掲載時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2016年冬号 「ムートンアウター」豊穣の季節がきたより
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
- クレジット :
- 撮影/北浦凡子(SIGNO/人物)、小池紀行(パイルドライバー/静物) スタイリスト/櫻井賢之 ヘア&メーク/HIROKI(W management) モデル/Yaron 構成/山下英介(本誌)