目に映る佇まい、使う時の手触りや音、放つ香り… ラグジュアリーなアプローチでこその「用の美」の奥深さを、変わりゆく時代こそ見つめ直したい。そんな想いから『Precious』8月号では「五感で慈しむ『暮らしの名品』」と題して、日々を彩る名品を特集しています。
家で過ごす時間を慈しむようになり、2度目の夏を迎えました。暮らしを彩る名品と、その向き合い方までアップデートする…そんな絶好の機会ととらえてみませんか? ナビゲーターは松浦弥太郎さん。名品との対話を尊ぶことで生まれる、真の豊かな暮らしへ―。
今回のテーマは「いただく」。お米が大好きな松浦さんの愛用品は、「栗久(くりきゅう)」のおひつと「角漆工房」の合鹿(ごうろく)椀です。
「栗久」のおひつ、「角漆工房」の合鹿小椀
栗久のおひつは内底の隅を曲線に仕上げているのが特徴。米粒が詰まらない構造になっているのがうれしい。
かつて石川県能登町の合鹿地方で日常の器として愛された合鹿椀。角 偉三郎(かど いさぶろう)が現代に復活させ、現在は角 有伊(かど ゆい)が受け継いでいる。合鹿小椀は、合鹿椀のおおらかさはそのまま、日々の飯椀、汁椀としてなじむよう、やや小ぶりに仕上げたもの。
「おひつに入れ、合鹿椀によそえば、それだけでごちそうに」( 松浦弥太郎)
「お米を愛して止まない僕がたどり着いたもの。それがおひつと漆のお椀です。炊き立てのごはんをおひつに入れ、木の香りを移し、水分を調整する。それを能登の名匠・角 偉三郎による合鹿椀によそえば、それだけでごちそうに。
ひと口含めば笑顔がこぼれ、ひと粒も残さずいただこうと感謝の念が湧き上がります。おいしさとは与えられるものでなく見つけに行くもの。香りを嗅いで、よく噛んで、味わいを探して、ようやく見つかるものです。滋味という言葉がありますが、最初のひと口より最後のひと口がおいしいもの、そして味わいが余韻として残るのが理想ですね。ただ空腹を満たすのか、恵みを受け取るのかはその人しだい。『いただく』道具を見直してみませんか?」(松浦さん)
※掲載した商品は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- 栗久 TEL:0186-42-0514
- 角漆工房 TEL:0768-22-1804
- PHOTO :
- 本多康司
- STYLIST :
- 来住昌美
- WRITING :
- 本庄真穂
- EDIT&WRITING :
- 兼信実加子、喜多容子(Precious)