キートンのスーツはとにかく高い。一見しただけでは凡庸にしか見えないそのスーツに、価値を見いだすのは至難の技かもしれない。しかし、羽織ってみればその大きな違いに頷ける。窮屈さを感じさせない軽さと身体に自然と馴染む柔らかさは格別であり、その佇まいは息を呑むほど美しい。

それもそのはず。スーツを仕立てるうえで欠かせない生地の裁断・縫製・アイロンワークなど、150近くにも及ぶ工程に対し、同数の熟練した職人が1工程ずつ手作業にて丹念に仕上げているのだから。こうして時間をかけ、職人の魂が注ぎ込まれたキートンのスーツは、トレンドに左右されることなく、いつの時代にも存在感を与える男の一張羅なのである。

イタリア・ナポリを代表する、サルトリア最高峰の「キートン」のスーツ

完成度の高いスーツは袖を通した瞬間から虜になる!

スーツ¥704,000(キートン)
スーツ¥704,000(キートン)

キートン

時代に合わせパターンを少しづつ変化させながらも、今もなおキートンの中核を担うKBモデルのスーツ。超極細である14ミクロンのウールを用い打ち込みを多くすることで、柔軟性に優れた光沢のある生地感が、落ち着いた表情の中にも艶っぽさを与える。ウエストをややシェイプさせた3つ釦の段返り、柔らかい表情のマニカカミーチャ、普遍的な8.5cm幅のラペル幅による王道のナポリスタイルは、サルトリアの伝統を現代に体現するモダンクラシックなスーツの証である。

アズーロ・エ・マローネで伊達男を気取る!

スーツ¥704,000・シャツ¥61,600・タイ¥31,900(キートン)、靴¥174,900(ストラスブルゴ〈エドワード グリーン〉)※チーフはスーツに付属したものを使用

イタリアの伝統的なスーツには、イタリアらしい往年の色合わせが吉。深いネイビーのスーツに対し、コントラストを際立たせたブラウンをネクタイや靴に取り入れて、上品で洗練されたアズーロ・エ・マローネの着こなしを楽しみたい。

ピンキリのスーツにおいて、決して価格だけが物を言う世界ではない。しかし、手間暇を惜しんで仕立てられたキートンのスーツは、間違いなく誰が着ても最高の姿にしてくれるスーツだ。

※価格はすべて税込です。

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PHOTO :
島本一男(BAARL)
STYLIST :
河又雅俊
EDIT&WRITING :
河又雅俊