美術館、博物館の建ち並ぶ上野公園で1959年の開館以来愛されてきた国立西洋美術館が、世界遺産に登録されました。
国立西洋美術館は近代を代表する建築家、ル・コルビュジエが日本に残した唯一の建築。世界7か国にまたがる17資産のひとつとして、世界文化遺産「ル・コルビュジエの建築作品─近代建築運動への顕著な貢献─」を構成しています。
合理的で機能的なデザイン原理を、建築や都市計画に提唱したコルビュジエ。たとえば建築の寸法を決める定規として黄金比と人体のサイズから考え出した「モデュロール」が、この美術館の天井高や柱の間隔の決定にも用いられています。
コルビュジエ建築ならではの「ピロティ」になったエントランスを抜けて常設展に入ると、そこは「19世紀ホール」と呼ばれる天井高の高い吹き抜け空間。階段ではなくスロープを上ることで、自然に2階の展示室へと導かれていきます。
19世紀ホールを中心に、角を曲がるごとに次の展示室が現れる2階は、コレクションが増えるにつれて建物の外側に展示室を追加していける「無限成長美術館」を構想していた、コルビュジエのアイディアから生まれた特徴のひとつ。
近代建築の巨匠が理想を抱いて設計した美術館には、彼の建築を知るうえで見ておきたい14のポイントがあります。
無料で配られている建築探検マップを手に、日本が誇る西洋美術の名品「松方コレクション」を見るもよし、毎月第2・第4日曜日に開催されている建築ツアーに参加するもよし。
上野公園内には、ほかにもル・コルビュジエの弟子であった前川國男による東京文化会館、東京都美術館、谷口吉郎設計の法隆寺宝物館、安藤忠雄が手がけた国際子ども図書館、さらには明治の片山東熊による表慶館と、日本の近現代を代表する名建築が集合。芸術作品を鑑賞するのも楽しいけれど、それらを収蔵する建築巡りも、上野散策の醍醐味です。
問い合わせ先
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国立西洋美術館 TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
住所/東京都台東区上野公園7−7 - 開館時間/9:30〜17:30、冬期~17:00、金曜日〜20:00(入館は閉館の30分前)
- 休館日/毎週月曜日(休日の場合は翌火曜日)、年末年始
- 常設展観覧料/一般¥430、大学生¥130(ともに税込) 高校生以下は無料
- ※建築ツアーは毎月、第2・第4日曜日(開館時)、9月以降は第2・第4水曜日・日曜日(開館時)、15:00~(約50分)。10才以上を対象に、各回20名(先着順)。料金は無料。常設観覧券が必要。事前の申し込みが必要。ツアー実施日の2週間前、午前10時から国立西洋美術館ホームページで申し込みできます。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- クレジット :
- 文/吉川 純