雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。

今回は、アメリカでスーパーマーケットを経営しているカテリーナ・ボガテリヴァさんの活動をご紹介します。

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カテリーナ・ボガテリヴァさん
「Precycle」ファウンダー
’00年にラトビアからN.Y.へ。ジュエリー制作やギャラリー経営を経て、’18年にスーパーマーケット「Precycle」をオープン。安全な商品を量り売りすることで、ゴミをゼロにすることを目指す。ブルックリン在住。

安全で負荷の少ない循環を目指す量り売りのスーパーマーケット

ブルックリンにあるスーパーマーケット「プリサイクル」で扱っているものは、「限りなくオーガニックに近い安全な食材」で、「紙などのリユースできるパッケージ」で店に納品され、仕入れの段階から「不要なゴミを生まない」ことを徹底している。

店の商品は穀物類、スパイス、オリーブオイルや酢などの液体調味料、洗剤など、量り売りが基本。’18年にオープンした頃は、お客は地元の人が多かったが、今では遠方から数時間かけて来る人もいる。

N.Y.のカルチャーシーンに憧れてラトビアから渡米。ジュエリー製作やギャラリー経営に携わって忙しくしていたカテリーナさんが、経験もコネクションも無いなか、突然スーパーマーケットを始めたのは、ひとり息子の食物アレルギーがきっかけだった。

「N.Y.に来た当初から、この国の大量消費、大量廃棄は気になってはいました。息子のアレルギーは、そんな私の背中を押したのです。経験もコネクションもない一消費者でしたが、不動産を巡り歩き、農家や生産者を探して、近郊のあらゆるエリアを訪ねて、実現させました。『やってみる』タイプなんです。

オープンしてみて驚いたのは、自分自身の日々の行動が未来に関わってくると理解して、店に来てくれる人が思った以上に多いこと。そういう人たちの日常を支える店でありたいと思います」

【SDGsの現場から】

持参した容器に入れて商品を持ち帰る

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シルバーの容れ物には、キャノーラオイルやオリーブオイルが。穀物や調味料、洗剤も量り売り。

スーパーの理念に賛同した人が遠方からも訪れる

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コロナ禍により一時的に閉店する前は、遠方からブルックリンまで足を運んでくれる人も。


コロナ禍で店はいったん閉店したが、すぐにネット販売をスタート。むしろ顧客は増え続けたという。今夏には、店舗営業も再開。

「お金も手間もかかるリサイクルよりも、少ない負荷で物を循環使用するためのリデュース、リユース(*)へと、消費行動を変えていこう。それが、私たちの提案です」

*リデュース、リユースとは…使う資源の量を少なくするリデュース、繰り返し使用するリユース。環境への負荷を排除する観点から、リサイクルよりも優先される。

PHOTO :
Hiroshi Abe、Maria Moskvina-Williams
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)