雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。
今回は「sweet heart project」実行委員長の東光篤子さんの活動を紹介します。
障がい者施設でのお菓子づくりに新たな可能性を広げるために
江東区大島にある「のびのび作業所フーズ」では、さまざまな障がいを抱える人たちが、毎日クッキーづくりに励んでいる。それぞれの持ち場で、型抜きをしたり、模様やロゴを入れたり、オーブンの前で焼き具合を確認したり…皆真剣な表情でひとつひとつ丁寧につくっている。
「気分にムラがあったりとうまくいかない日ももちろんありますが、彼らのこだわりも尊重しながら無理なく行っています」と施設長。
品質や味でも評判を呼び人気も高まってきた頃、コロナ禍で大打撃を受けた。イベントや対面販売が軒並み中止となり、売り上げが激減したのだ。こうした深刻な事態は、自主製品づくりを行う多くの障がい者支援(*)施設で起きている。
この現状を目の当たりにして立ち上がったのが東光さんだ。
「売り上げを回復したくても、施設のスタッフさんは手一杯でそんな余力はありません。ならば、私たちが彼らに代わって販路の開拓や商品開発のお手伝いができないかと『スイートハートプロジェクト』を立ち上げました」
*障がい者支援とは…身体的、知的、精神的障がいをもつ人(約857万人)が、安心して地域で暮らせる体制づくりは社会の課題。
【SDGsの現場から】
パティシエ考案のレシピでつくったクッキーも販売
パッケージでアートを広めたりギフトセットにはメンバーの案が満載。HPから注文を受け付けている。
企業と施設をオンラインでつなげることも
プロジェクトに賛同する企業と施設の人が話す機会を設けた。多くの案が出る活発な会に。
障がい者支援施設への助成事業を行う財団で働いている東光さんは、これまでのつながりを生かし、まずは協力してくれるメンバーを集めた。プロジェクトへの想いに賛同し、お菓子のレシピを考案した有名パティシエや、アートプロデューサー、ジャーナリスト、広報や金融の専門家など総勢20名以上がメンバーに。彼らの力を借りて営業先を広げ、定期的に利用してくれる企業も増えた。
「利用者の方の丁寧な仕事ぶりや受注が増えて喜んでくれる施設の方の姿を見ると、本当にうれしい。今後は全国の施設に対して活動を広げていきたいです」
- PHOTO :
- 望月みちか
- WRITING :
- 大庭典子
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)