「ホワイトハウスコックス」は、数ある革製品ブランドの中でも特別なイメージを醸し出している。その理由は、堅牢さと高級感を併せ持つ皮革、ブライドルレザーを使った製品に特化したブランドであるから。背景には、皮革製品についての確かな技術を磨いてきた歴史がある。
1875年、「ホワイトハウスコックス」は馬具用品や英国軍からの依頼を受けたアイテムを製造する革製品メーカーとして創業。同社が新しい分野に参入するのは1930年代に入ってから。それまで積み重ねてきた伝統の技法を生かして挑戦したのは、カフスボタン入れやシェービング用品を納めるレザーボックスなど、英国上流階級の人々からの要請を受けてのスモールレザーグッズの製造だった。
それらの品質の高さが認められ、やがてバッグやラゲッジなど、紳士の装い小道具として欠かせないファッション性の強いアイテムもコレクションに加えられるようになる。そのほとんどに用いられた素材が、乗馬用の鞍や手綱の製造に使用されていたブライドルレザーだった。1970年代後半にはブライドルレザー製の犬用首輪を手がけたことがきっかけとなり、英国国内にとどまらない、広く世界中に愛用者をもつブランドへと発展する。とくに財布は、お洒落に一過言をもつ男性たちの装いの小道具として高い評価を得ている。
素材使いの妙に魅せられるブライドルレザーの財布、注目の3アイテム
「ホワイトハウスコックス」といえばブライドルレザー。それが前述したように伝統に裏打ちされた確固たるイメージだが、その製品作りは頑なに伝統を守るだけではなく、スタイリッシュなモデルもラインナップに加えられている。ここでは、定番モデルのほかに、ブライドルレザーに型押し仕上げをした財布、美しいロンドンカーフとよばれるレザーとブライドルレザーをコンビで使った財布も紹介。どれもエイジングを楽しみながら、愛用し続けたい逸品たちだ。
■:2つ折り財布
コインケース付き2つ折り財布。コンパクトなサイズ感をキープしながら、コイン、カード、領収書などの保管もしやすい2室に分かれた札入れがあるなど、必要最低限の収納を可能にしたデザインが優れたベストセラーモデル。
「ホワイトハウスコックス」のブライドルレザーに使用する原皮は、英国をはじめ欧州で探し求めた最高グレードのカウハイド。樹皮や種子など自然の草木を使用したフルベジタブルタンニングで約10週間かけて鞣された、強く耐久性のある皮革。購入直後や、長期間使用しないでいると、ブルームという白い粉状のものが現れることがあるが、これはブライドルレザー特有のもの。柔らかい布で磨くかブラッシングすることでブルームは革の中に戻り、気にならなくなる。
■:長財布
オン&オフ兼用財布として定着している2つ折り長財布。インサイドには縦に並んだカード入れや充分な容量の札入れにプラスして、ジッパー付きのコインケースを備えるなど、スリムな形状ながら収納力にも優れている。
「ホワイトハウスコックス」ならではのブライドルレザーをベースに、小さな格子状に型押しして仕上げたリージェント・ブライドルレザー。型押しをした後に、ブライドルグリースと呼ばれる特殊なオイルを革の深部まで塗り込んでいるので、使い込む程に味わいの増すエイジングを充分に楽しむことができる。キズなどが目立ちにくいのも大きな特徴。
■:三つ折り財布
アウトサイドの半円形フラップがデザインアイコン。インサイドにはマチ付きの大型コインケースやカード入れ、さらに多目的ポケットが付いて、見た目以上に収納力に優れているのが大きな特長。
アウトサイドに使われているロンドンカーフは、上質な原皮カーフ素材にピグメントプリント(顔料染め)を施したもの。細かい型押しプリントを行った後、レジンコーティング(樹脂コーティング)を施しており、独特の凹凸感と品のある滑らかな手触りが特徴。インサイドには定番のブライドルレザーを使用。
※価格はすべて税込です。
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- TEXT :
- 堀 けいこ ライター
- PHOTO :
- 島本一男(BAARL)