スタイリッシュにイメージチェンジした「菊」をインテリアとして楽しむアレンジ
今では花屋の店先にオールシーズン並ぶ菊の花。しかし、季語にもなるように、本来は9月〜11月を開花期とする秋の代表花です。
原産国は中国大陸で、日本には奈良時代以降に渡来。平安貴族に愛され、9月9日の重陽の節句をはじめとする様々な行事に使われていました。江戸時代に入ると改良が進み、菊園芸が盛んになります。延命長寿を願う花としても、日本文化の中で長く愛されてきました。
現在、園芸用の花として国内生産が最も多いのが菊。その背景のひとつに、仏花(仏壇に供える花)としての高いニーズがあります。そのせいか、お盆やお彼岸などに仏様に献花するという、古風な和の印象が強いことも確か。ところが、そんな菊のイメージが大きく変わりつつあることを、恵比寿「GINKGO」のオーナー・フローリスト山岡まりさんによるスタイリッシュなアレンジが教えてくれます。
グリーンや実ものを使ったアレンジでボリューミーなフォルムを作り出す
菊、と言っても、切り花として出回るものは多種多様。仏花によく用いられる輪ギクと称されるものから、ダリアと見紛うような大輪、丸く可愛らしい花形、一重咲き、八重咲きなど様々な形状がある。また、花の色も、単色だけでなく、複色でニュアンスのあるものなど、アレンジで活躍するタイプも多く目にすることができます。
そんな中から山岡さんが選んだのは、花びらが立体的に重なって咲いたデコラ咲き(八重咲)の菊。そこに、あえて菊の花とは趣のまったく異なるグリーン(葉もの)と実ものを複数合わせて、ボリューミーなフォルムの秋らしさを感じさせるシックなアレンジに。その一方で、ワインの空き瓶を花瓶代りにした一輪挿しにすれば、菊ならではの背の高い花姿をそのままに、凛とした風情を楽しむこともできます。
ここで山岡さんから、インテリアとして花を楽しむための花瓶選びについてのアドバイス。生けた花が枯れてしまったら、次に新しい花を生けるまでは花瓶を仕舞っておくというのが一般的。そこで山岡さんが提案するのは、花がなくてもルームインテリア(置物)として飾っておける魅力のある花瓶を選ぶこと。その例として挙げるのが、ひとつめの菊のアレンジに使ったドイツのGUAXS(ガクス)というブランドのガラスベース(ガラス製花瓶)。それ自体が彫刻的なオブジェとなる存在感にひと目惚れをしたという、山岡さんが長年愛用の品だ。
自分の感性を刺激する花と出会ったら、身近な存在として、また、インテリアとしてその花を楽しみたい。そのためにも、お気に入りの花瓶をひとつ手に入れてみるのはいかがだろう。
問い合わせ先
- TEXT :
- 堀 けいこ ライター
- PHOTO :
- 島本一男(BAARL)
- COOPERATION :
- GINGO
- 参考書籍 :
- 「花屋さんに並ぶ植物がよくわかる 「花」の便利帖(KADOKAWA)」