双子の兄弟「クリスピンとクリスピニアン(英語での表現)」は、キリスト教(カトリック教会、聖公会、正教会)における靴や製革職人の守護聖人。そして10月25日は彼らが聖人になった日として、英国やヨーロッパなどで広く祝われている。そんな「聖クリスピン」の日に毎年発表されているのが、メンズシューズブランド「ジョンロブ」のイヤーモデル。今年も同ブランドの高い技術力を盛り込んだモデルが登場する。

3色で展開される「ジョンロブ」のイヤーモデル『HENLEY』

上から見た「HENLEY」。ホールカットのアッパーにぐるりとステッチが配されているのがよくわかる。ブラックの「Oxford Calf」を使用。¥396,000(ジョン ロブ ジャパン)
上から見た『HENLEY』。ホールカットのアッパーにぐるりとステッチが配されているのがよくわかる。ブラックの「Oxford Calf」を使用。¥396,000(ジョン ロブ ジャパン)

『HENLEY』と名付けられた「Year Model 2022」は、パリのビスポークアトリエと英国ノーザンプトンのコラボレーションにより製作されている。デザインの元になったのは、ビスポークのアーカイブにあった靴。ハンドソーイング(ハンドステッチ)がつま先とかかと部分にあしらわれていたが、かかと後部でアッパーが縫製されていたことで「ぎこちなさ」が感じられたことから、かかと部をシームレスに、ハンドソーイングをアッパー全体に一周させたデザインが考案されたという。

一枚革のアッパーを一周するハンドソーイングや細部のステッチにも注目

ハンドソーイング以外のステッチは繊細なシングルステッチを配して、ハンドソーシングの存在感がより際立つようになっている。一枚革のダービースタイルはより高度なパターンづくりが求められる。
ハンドソーイング以外のステッチは繊細なシングルステッチを配して、ハンドソーシングの存在感がより際立つようになっている。一枚革のダービースタイルはより高度なパターンづくりが求められる。
アウトソールは『ジョンロブ』のビスポークを象徴する色であるラセットカラーに染められている。
アウトソールは「ジョンロブ」のビスポークを象徴する色であるラセットカラーに染められている。

アッパーはホールカット(一枚革)で、ダービー(外羽根)の内側の羽根根元からつま先、靴のアウトサイド、かかと上部、そして羽根の内側基部までぐるりとステッチが一周している。この職人の手作業によるハンドソーイングは、1足あたり2時間を要するという。木型にはビスポークアトリエと共同開発した、同ブランド人気の「8695」をベースにノーズをよりスマートにモディファイしたラスト「0118」が採用されている

ダークブラウン(左)とオックスブラッド(右)には「Burnished Calf」を採用。「モッピング」による独特な色の濃淡が特徴。ハンドソーイングの糸の色も、それぞれのアッパーカラーに合わせたものが選ばれている。

さらに、オックスブラッド(赤茶)とダークブラウンカラーのモデルには「Burnished Calf」を使用。これは今季より「ジョンロブ」で展開されている新開発の革で、「モッピング」と呼ばれる摩擦熱で革を焦がしながら色の濃淡をつける工程により、独特な風合いを長年にわたり楽しむことができるという。

一見馴染みのあるUチップダービーのスタイルでありながら、実は高度な職人技の反映である今回のイヤーモデル。アンダーステイトな、英国らしい魅力を感じさせるプレシャスアイテムといえるだろう。全世界500足限定の展開なので、興味を持たれた方は急ぎチェックされることをお薦めする。

※価格はすべて税込です。

問い合わせ先

ジョン ロブ ジャパン

TEL:03-6267-6010

この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
EDIT&WRITING :
菅原幸裕