「自分とあの人、仕事では同じくらいの実績をあげているはずなのに、なぜか向こうの周りでは会話が弾んで、人も集まってくる」という疑問を感じたことはありませんか?

若いうちはまだよいかもしれませんが、キャリアを積んでいけば評価の差がどんどん開き、気づいたら自分に話しかけてくるのは難しい顔をした人ばかり……ということになってしまうかもしれません。

仕事上で高評価を得る女性を目指すなら、職場や取引先の人たちから「あの人、すてきじゃない」と言われる、コミュニケーション能力も身につけておきたいもの。

そこで、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授で『超一流 できる人の質問力 人を動かす20の極秘テクニック』(マガジンハウス刊)の著者・安田 正さんに、習慣にすると会話が弾む質問の仕方のコツをお聞きしました。

■「質問の仕方」が、仕事にも人生にも成功をもたらす

質問力を上げよう

まず安田さんは、「質問」こそが人生を左右すると提言します。

なぜなら、「この商品を買ってくれませんか?」という顧客への営業も、「結婚してくれませんか?」という恋人への気持ちの確認も「質問」であり、仕事での成功も、プライベートでの幸福も、ほとんどが「質問に仕方」ひとつにかかっているから。

上手に質問をすれば、質問をする側が会話のイニシアチブを取ることができ、よい質問をよいタイミングで投げかけることができる人は「この人は頭がいい」や「話をするのに値する人だ」などの評価を得ることができます。

逆に、質問の仕方が下手だと、損をするばかり。相手から「話を理解する能力がない」と判断されてしまい、タイミングが悪いと「今、忙しい!」と門前払いをされることも。

そのため超一流の人達は、以下のような質問の仕方をしないそうです。

■一流の人は絶対にやらない「NGな質問の仕方」3選

(1)否定的感情はNG

ネガティブな感情は持ち込まない

安田さんは、職場で人間関係を相談する場合、「否定的感情を入れるのは厳に慎むべきです」と教えます。

「大多数の人は自分を肯定したいがために、前振りで他人を否定しがちですが、愚痴や悪口は、入れれば入れるほど、聞く相手は『質問に答えてあげたほうがよいのか、愚痴を聞いてあげてその人を癒してあげたほうがよいのか』がわからなくなります。

愚痴を入れず、例えば『私は、Aさんの下で働いています。もうちょっとAさんの力になりたいのですが、なれていない状態かもしれません。どうすれば、よいでしょうか、アドバイスをいただけますか』と尋ねれば、肯定的で、生産的で、改善的なイメージを残すことができます。

例え上司から指示された仕事をやり遂げることができなかったり、思いもつかなかったことを言われたりしても、キャリアを積む女性は愚痴を言ってはいけません。キャリアを積むということは、自分にできなかったことができるようになること。自分が理解できなかったことが理解できるようになることだからです」

確かに、キャリアを積むという自分の目的をしっかりと認識して、前向きに仕事に打ち込んでいる印象を与えれば、前向きな答えが返ってきそうです。やはり、愚痴や悪口は慎むべきなのですね。

(2)思いつきで質問はNG

付箋に書ける情報は限られることを利用

相手に質問の内容すら聞いてもらえない場合、その理由はシンプルで、質問のタイミングが悪いから。つまり、相手が忙しい時間に質問をしてしまっているのです。

「質問をするタイミングで、返ってくる答えはぜんぜん違ってきます」と安田さん。「質問に対して相手が最も生産的になれるタイミングは、相手が忙しくない時間帯」とも。

職場で質問をするタイミングのヒントとして、木曜日と金曜日の午後3時とその前後1時間(午後2時から4時までの間)がよいそう。なぜなら、その時間になると、誰もがのんびりとした気分になり、話を聞いてもらいやすい傾向にあるから。

逆にNGと思っておいたほうがよいのは、週の初めでみんなが忙しい、月曜日と火曜日。ランチの時間帯の12時から1時までや、みんなが仕事に集中している午前中も避けることが無難。前日夜、上司がヘビーな接待をしたのなら、その翌日には、上司に質問をしないほうが賢明です。

安田さんは「女性の中には、思いついた瞬間に質問をしてしまう人もいるのですが、日頃から相手の状況を観察し、タイミングを見て質問することが鉄則です」とアドバイスを送ります。

ただ、そうはいっても、相手にとって最もよいタイミングは、自分にはわかりませんよね。

そこでおすすめは、質問内容を大きめの付箋に書き、「こういう内容でお時間をいただくことができますか? 私はこの時間帯ならいつでもお邪魔できます」と言い添えて、あらかじめ相手に渡しておくこと。

「付箋は手帳に挟むこともできますし、パソコンのディスプレイに貼っておくこともできます。付箋で渡されると助かるものです。大きめとはいえ付箋に書くことができる内容は短いので、どんなに忙しい人でも読んでくれます」

なお、付箋は薄いピンクがよいそう。「薄いピンクは、なぜか角が立ちません。また、男性の上司に渡すと、薄いピンクだとラブレターにも見えます(笑)」と話してくれました。

思い詰めた気持ちで質問をするよりも、心がふと和むような方法で質問することで、人間関係がうまくいくこともありそうですね。

(3)受け身モードで質問はNG

ただ聞いているだけの状態も避けよう

相手がせっかく答えてくれているのに、的外れな話題に時間ばかりを費やしたり、浅い話しかしないまま会話が終わってしまうこともありがちです。

そんなときに気をつけたいのは、質問をする態度です。質問をする態度には「積極的な態度」と「受け身の態度」のふたつに大きく分けられます。深く突っ込むことをせず、相手の話を「ふむふむ」や「なるほど」などとただ聞いているだけの「受け身の態度」では、相手も浅い答えしかしてくれません。ときには「この人に細かいことを言ってもわからない」と思われ、会話を切り上げられてしまうこともあります。

質問を進める際は、「こういう意味だと理解してよいのでしょうか?」といった「確認モード」の質問を挟んでいくことが有効。質問者が積極的であれば、答える側も「この人は自分の話をよく理解しようとしているな」と好感を持つもの。逆に「受け身モード」だと、「この人、本当にわかっているのかな?」と不信感を生んでしまいます。

「確認モード」の質問をする際のコツとして、例えばニュースには「見出し」、「小見出し」、「記事の内容」とありますが、ニュースでいうところの「見出し」的な部分を確認すると、何を話しているのかに誤解が生まれません。

また、安田さんは、「質問者はいつでも、『自分の話を誤解されてしまうとご迷惑がかかるから、確認をさせてください』という気持ちでいなければなりません。例え、部下であっても、相手の説明が下手とかではなく、徹底的に『自分の理解が正しいかどうかを確認させてください』というスタンスでいることが必要です。それはビジネス社会では掟なのですが、知らない人がけっこういます」と警笛を鳴らします。

続けて、「確認をすることは話を遮ることになるので、必ず、『このタイミングで申し訳ございませんが』などと謝罪しなければなりません。謝罪のひと言がないと、確認は相手に対してネガティブな行動になってしまいます」とも。

質問をする際の態度を意識したことがない人は、「受け身モード」で質問してしまっていないか、思い返してみましょう。

以上、NGな質問の仕方と、会話を弾ませるコツを紹介しました。

上手なコミュニケーションは、すぐに実現できるものではないのかもしれません。が、日頃から実践すれば、いつの間にか自分の周りに人が集まり、「あの人の話し方って、すてきだよね」と好意的に受け止められることになるでしょう。仕事でも、人生でも、ますます輝くために、できそうなものから取り入れてみましょう。

PROFILE
安田 正(やすだ ただし)さん
宮城県生まれ(1953年8月6日)。幼い頃は「超恥ずかしがりや」。23歳のときの英国留学で、英語ができるのに「話が通じない」という場面に何度も出くわし、「コミュニケーション力」という英語力とは違う能力を発見、そして開花。 神奈川大学卒業後、小さな英会話学校で営業として「コミュニケーション力」を磨き、その後、兼松パーソネル・サービス国際文化事業部部長に。 1990年 法人向け研修会社、株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループを設立。起業以来、研修講師としても活躍。 現在は企業研修以外にも東京大学、早稲田大学、京都大学、一橋大学、お茶の水女子大などでも教鞭をとる。早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授。
この記事の執筆者
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WRITING :
竹内みちまろ