あまりにも数が増え過ぎたファッションブランドは、時としてコラボレーションとは名ばかりの粗製濫造なアイテムを生み出すこともある。本来、協業相手の良さを引き出し、逆に足りない部分を補うことでインラインにはないケミストリーが生まれるのが、コラボレーションの醍醐味であるはず。そういった意味では、組み合わせの意外性も含めてマジカルな化学反応を起こすのが、「ラルディーニbyヨウスケアイザワ」である。
クラシコイタリアを現代的に昇華させた「ラルディーニ」と、アウトドアやスポーツを出自としたコンテンポラリーな服作りが特徴の「ホワイトマウンテニアリング」を指揮するデザイナー・相澤陽介。両者ががっぷり四つに組んで2020年秋冬シーズンにスタートしたのが、「ラルディーニbyヨウスケアイザワ」だ。異なるバックグラウンドやエレメントを巧みに折衷し、上手く意匠に落とし込んだシューズを見れば、両者のコラボレーションがまさしく必然的であったことが分かるだろう。
複雑なマテリアルの組み合わせが、足元に重層的なニュアンスをもたらす
堅牢な「ビブラム」社製のチャンキーソールや、シューレースを通すパーツ使いなど、トレッキングシューズを想起させる佇まいが特徴。デザインだけでなく、タフな環境でも活躍する快適な履き心地と足首までしっかりとホールドされた高い機能性からは、相澤陽介らしさが顔を覗かせる。中でも秀逸なのは、ヌバックやスムースレザー、スエード、テクニカルファブリックなど、異素材で巧みに切り替えたアッパーデザイン。大胆な切り替えだが、ブラウンを基調としたトーナルカラーでまとめることで、シックな一体感を感じさせる。
本コラボレーションが掲げるキーワードに「あくまでラルディーニであること」とあるが、アウトドアライクなルックスながら、全体を支配するエレガントなムードは、まさしく「ラルディーニ」のそれであることは間違いない。
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 多田悟(Rooster)
- STYLIST :
- 仲唐英俊(TABLE ROCK.STUDIO)
- WRITING :
- 佐藤哲也