1884年、アメリカ・マサチューセッツで創業した「オールデン」は、メイド・イン・USAの誇りを胸に、熟練職人の手によって約200にも及ぶ作業工程を経て作られる米国の靴文化を象徴するシューメーカー。1970年代に、独自のラストを採用した医療用矯正靴のこれまでにない履き心地がファッションシーンで評価されると、その名声は国内外に広く知れ渡った。その後、1980年代に日本へと販路を広げると、感度の高いファッション関係者の間で爆発的な人気に。2000年代に入り「トム ブラウン」や「トッドスナイダー」が牽引した新たな“アメトラ”が、トレンドの大きな潮流を生み出すと “いつかは手に入れたい憧れの一足”として若い世代からも厚い支持を集めるなど、 その人気を不動のものとしたのである。
バリーラストを採用した優しい丸みを帯びた独特のシルエット
改めて『990』に話を戻そう。素材には最高品質のコードバンを採用した外羽根のプレーントゥ タイプ。オールデンの大きな魅力のひとつともいえるコードバンは、シカゴ発の皮革なめしメーカー「ホーウィン」社のもので、馬の臀部から取られた上質なレザーは、足馴染みの良さに加え、履き込むほどに増していく色艶が特徴。しっかりと履き込まれた「オールデン」のアッパー部分には、奥行きのある履きジワが見られるが、これもコードバン特有の経年変化である。
また、熟成されたワインを思わせるバーガンディの色合いもエイジングの美しさを際立たせる。木型は定番のバリーラストを採用。丸みを帯びたラウンドトウに象徴されるふっくらとしたフォルムは、やや張り出したコバも相まって無骨さと愛嬌が同居したような得も言われぬ魅力がある。リジッドデニムやチノトラウザー、軍パンなど、合わせるボトムスを選ばない高い汎用性は、『990』の特徴的なシルエットに寄るところも大きい。
もちろん、アメリカントラッドの歴史に寄り添った一足だけに、ネイビーブレザーにグレーのスラックスといった、ジャケットスタイルとの相性の良さは言わずもがなである。底付けはグッドイヤーウェルト製法で、気になる耐久性も申し分なし。長く愛用することで徐々に増していく色艶は、自身の愛着の深さと比例するようでもあり、モノを大切に扱うという原点へと立ち返らせてくれる。
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- MEN'S Precious編集部
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- 島本一男(BAARL)
- STYLIST :
- 河又雅俊
- WRITING :
- 佐藤哲也