いつでも気になるブランドというのがある。自動車でいえば、さしずめ、アルファロメオ。このイタリアのスポーティカーのブランドが送りだす製品は、いつも男の心を騒がせる。最新モデルが、2022年2月に発表された「アルファロメオ・トナーレ(Tonale)」だ。

ステルヴィオをさらに進化させたモダン・デザイン

160馬力のハイブリッド GTVと、275馬力のプラグイン・ハイブリッド Q4が登場する。
160馬力のハイブリッド GTVと、275馬力のプラグイン・ハイブリッド Q4が登場する。
リヤからヘッドライトまで走る「GTライン」を踏襲。
リヤからヘッドライトまで走る「GTライン」を踏襲。
テールライトにもフロントと同じデザイン要素がみえる。
テールライトにもフロントと同じデザイン要素がみえる。

トナーレは、全長4528ミリ、全高1604ミリのボディに、2636ミリと比較的長いホイールベースを持つシャシーを組み合わせたSUVだ。ステルヴィオが全長で4690ミリ、ホイールベースが2820ミリなので、トナーレはすこしコンパクトだ。

ステルヴィオがクラシカルなアルファロメオ車の雰囲気をただよせたフロントマスクを持つのに対して、トナーレはLEDを効果的に使ったシャープなデザインのヘッドランプが印象的だ。このヘッドランプは「サインカーブ(正弦波)」と呼ばれる。

ヘッドランプユニットには、デイタイムランニングライト、ダイナミックターンシグナル、それに「ウェルカム&グッドバイ」(イグニッションのオン/オフで作動) と、さまざまな機能が盛り込まれている。

大きなエアダムとやはり大型のアルファロメオ車のトレードマークである楯型グリル(スクデットと名づけられている)。これらは、ステルヴィオのデザインの“進化形”といえそうだ。

最大の特徴は、ドライブトレインにある、ハイブリッドとともにプラグイン・ハイブリッドが設定された。アルファロメオ初となる。シャシーは基本的に、ジープ・コンパスのものを使い、プラグインシステムも同「4xe(フォーバイイー)と共用だ(日本には未導入)。

アルファロメオによると、プラグイン・ハイブリッドQ4 バージョンは、後輪をモーターで駆動。出力は275psで、ラインナップ中もっともパワフル。同時に、48ボルトのシステムを活かしたEVモードで最長80キロの航続距離を持つという。

昔の名前だけではない“これからの”アルファロメオスタイル

上下に長いパドルシフトがスポーツモデルの証明ともいえる。
上下に長いパドルシフトがスポーツモデルの証明ともいえる。
個性的なデザインのバケットシート。
個性的なデザインのバケットシート。

「21 世紀のスポーティネスを再定義」と謳い、それには今回の電動化を活かしていくとする。アルファロメオのもっともスポーティなモデルは「クワドリフォリオ」と呼ばれるが、トナーレにも設定されるかどうかは「市場の動向で」とアルファロメオ。同様に、ピュアEVモデルも「作れるが市場をみながら」とやや慎重な姿勢をみせている。

デジタライゼーションもトナーレの特徴だ。インフォテイメントシステムは「Alexa 」が使える。音声認識システムにより、運転から注意を逸らすことなく、音声でナビゲーションシステムの操作もできるし、ショッピングリストにアイテムを加えるのも可能。ホームオートメーションシステムに接続した自宅の照明や空調温度も調整できるとのこと。

「創業時の価値観に忠実でありながら、未来志向の持続可能なモビリティへの具体的な取り組み」というのが、デジタル技術のフル活用の背景にある。私たちはアルファロメオと聞くと、つい、ジュリエッタやジュリアやアルフェッタ、あるいは156やブレラや4Cといったクルマを連想するけれど、トナーレのように、このブランドは着実に先へ先へと進んでいるのだ。

アダプティブマトリックス「3+3」なる LED ヘッドランプ採用。
アダプティブマトリックス「3+3」なる LED ヘッドランプ採用。
この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。