「レペット」は、1947年にローズ・レペットによって設立されたフランスのダンスブランド。振付師であった息子の助言を受けてスタートしたブランドとあって、しなやかさと快適さを追求したバレエシューズは、創業から75年経った今でも世界中のバレエダンサーから圧倒的な支持を集めている。
そして、ファッションの側面から「レペット」を語る上で外せないのが、フランスきってのスタイルアイコン、セルジュ・ゲンスブールその人である。作詞、作曲、歌手、映画監督、俳優などマルチな才人でありながら、ブリジット・バルドーやジェーン・バーキンらと浮き名を流したプレイボーイの代名詞と言えば「レペット」の白い『Zizi(ジジ)』だ。トップスは、ボタンを上3つほど開けたダンガリーシャツや、ブレザーと白シャツの組み合わせに、ボトムスは裾が切りっぱなしになったリーバイスのデニムが定番で足元は決まって白い『ジジ』。
また、ピンストライプのセットアップのイメージもあるが、足元はやはり素足に『ジジ』で、どの写真を見ても靴だけは頑なに変わることがない。その生涯を通じて30足以上を履き潰したとも言われているが、足の感覚が過敏だったゲンスブールのために、ジェーン・バーキンによってプレゼントされたのが最初だったと言われている。ゲンスブールの一見無造作に見えて、色香漂う唯一無二のスタイルを作る上で、大きなウェイトを占めていたのが「レペット」の『ジジ』であることは間違いない。襟の開け具合や袖のまくり方に象徴される着崩した装いにこのシンプルなシューズが最良のエレガンスを添えていたのだ。
洗練度を高める清爽なホワイトとシャープなシルエット

『ジジ』というモデル名は、バレエダンサーのジジ・ジャンメルにちなんで名付けられたもの。マテリアルには柔らかな羊革を使い、「レペット」の名を一躍有名にした表裏の状態で縫い合わせてひっくり返す“ステイッチ&リターン”製法で仕立てた。創業から受け継がれたこの独自の製法が、しなやかでコンフォートな履き心地を生み出しているのだ。
加えて、内側に配したシープスキン製のインソールも、柔らかな足当たりに一役買っている。ジャズシューズからインスパイアされたナチュラルなアッパーデザインに対し、程よい高さのヒールとレザーソールがきちんとした印象を付与。全体的には肩の力が抜けた佇まいだが、品の良さを感じられるのもこのヒールに拠るところが大きい。ゲンスブールに倣ってフェード感のあるデニムはもちろん、明るいトーンのコットンパンツやベージュのチノパン、さらにドレッシーなトラウザーとも好相性で、どんなボトムスを合わせてもノンシャランな装いを仕上げてくれるに違いない。
※掲載商品の価格は、税込みです。
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 島本一男(BAARL)
- WRITING :
- 佐藤哲也