2022年、「ヴァシュロン・コンスタンタン」が掲げたテーマは「The Anatomy of Beauty(美の構造)」。妥協は一切せず、細部にまでこだわり尽くして追求する気高きウォッチメイキングが、エレガントな新作で見事に開花しました!
時計本来の美しさを最大限に表現した、気品溢れるクラシカルデザイン
ラグジュアリーウォッチ界の頂点で輝く「ヴァシュロン・コンスタンタン」。時に「雲上メゾン」とも表現され、世界中の時計愛好家の憧憬を集め続けています。そのため、男性時計愛好家のためのブランド、と思っている人も多いのでは? しかし、古くから女性のための時計を手がけてきた歴史があり、近年も女性へ捧げるエレガントなタイムピースに注力しています。
今年のレディスモデルは、時計本来の正統の美を宿すクラシックコレクションにフォーカス! 「ヴァシュロン・コンスタンタン 」の代表的コレクションである“パトリモニー”と“トラディショナル”から、この上なくノーブルでフェミニンな機械式ウォッチが誕生しました。
究極の洗練が漂う、シンプルを極めた「パトリモニー・オートマティック」
まずは、“パトリモニー・オートマティック”。「ヴァシュロン・コンスタンタン」の伝統と、格式高いウォッチメイキングを象徴するコレクションが、新色ダイヤルとストラップをまとってそのエレガンスを加速させました。
「シンプルさは究極の洗練である」──私はこの時計を見るたびに、レオナルド・ダ・ヴィンチのこの至言を思い出します。時分針に、センターセコンド、そしてカレンダーのみが配されたラウンド形のダイヤル。無駄を一切削ぎ落とした、まさに「引き算の美学」を体現する麗しきシンプリシティ。手首にまとうと、とても静かに、だけど強く、名品オーラを放ちます。
バリエーションは、ホワイトゴールドケースとピンクゴールドケース、それぞれベゼルダイヤあり、なしの4種類。インターチェンジャブルシステムが採用され、ストラップを自分で簡単に付け替えることができます。
ダイヤモンドのミニッツトラックにも秘められた、「The Anatomy of Beauty(美の構造)」
48個のダイヤモンドの輝きが冴え渡るミニッツトラック。一見、そうは見えないけれど、ダイヤルがドーム状にカーブしているために、外周にダイヤモンドをセッティングするのは非常に複雑な作業で、時間と高度な技術力を要します。ここにも「The Anatomy of Beauty(美の構造)」──細部へのこだわりが、「ヴァシュロン・コンスタンタン」のウォッチメイキングにおいて不可欠だという哲学が宿っています。
優美な表情が印象的な、至高のフェミニン・コンプリケーションが登場!
2022年の「ヴァシュロン・コンスタンタン」のレディスモデルのハイライト、それは女性のためのハイコンプリケーション、“トラディショナル・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー”です!
この20年あまりの間で、女性の機械式時計に対する意識、関心は少しずつ醸成されてきました。それが完熟したと感じたのは、2020年、「ヴァシュロン・コンスタンタン」が初めて、女性のために手がけたハイコンプリケーション、“トラディショナル・トゥールビヨン”が発表された時。世界的に大きな話題を呼んだこのトゥールビヨンは、2020年の「Precious WATCH AWARD」の名品ウォッチ賞にも輝きました。
それから2年の歳月を経て、今度は「永久カレンダー」という複雑機構をエレガントに昇華! 名門マニュファクチュールの存在感を示しました。
永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)というのは、31日に満たない月(2月、4月、6月、9月、11月)の月末も、さらに4年に1度のうるう年の日付調整も必要としない──その名の通りほぼほぼ永久(厳密には100年単位では調整が必要となる)に調整しなくてもいい日付表示機能のこと。ちょっと気が遠くなるほど複雑な機構なので、必要な部品数も当然多くなります。そのため大きく厚みのあるケースになってしまうのが普通なのですが、この時計に搭載されている自社製ムーブメントは、直径28mm、厚さ4.05mmという小ささ&薄さ!
非常に高度なクラフツマンシップによって、永久カレンダーを搭載しながら、直径 36.5mm、厚さ 8.43mmという、女性の手首にもしっくりくるコンパクトなケースサイズを実現したのです。
バリエーションは、ホワイトゴールドケースとピンクゴールドケースの2種類。“パトリモニー・オートマティック”と同様、インターチェンジャブルシステムを、“トラディショナル”コレクションで初めて採用しました。
要素が多いダイヤルでも、高い視認性を確保するメゾンのフィロソフィー
ダイヤルデザインのインスピレーションは、20世紀前半にメゾンが発表したモデル。ハイコンプリケーションでありながら、決して「ドヤ感」を漂わせない、“トラディショナル”らしい上品さに加え、段差のつけられたラグとケース、バトン型インデックスで区切られたレイルウェイ型ミニッツトラックなど、特徴的な装飾が施されています。
特筆すべきは、カレンダー表示の読み取りやすさに特に配慮したデザイン。これは「機能がフォルムを決定するべきだ」という当時の方法論を忠実に継承したもので、細身のベゼルによってダイヤルの空間が広々と確保されています。
1755年の創業以来、一度も途切れることなく時計製造を続けてきた「ヴァシュロン・コンスタンタン」。実に265年以上にわたるその歴史の間には、戦争、経済危機、そして感染症と、さまざまな危機に直面してきました。しかしどんなに困難な状況下においても、ジュネーブの伝統、高級時計製造の灯火を絶やすことなく継承し続け、現在に至ります。
何世代にもわたって名工たちが培ってきた、時計づくりの卓越した技術。そして洗練されたスタイルはきっとこれからも途切れることなく受け継がれ、名門の輝かしいヘリテージを守り続けていくことでしょう。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト