マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。

結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドの小さな町と村に2つの住まいをもつ彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えします。

今回は、早くもサマータイムが始まった英国で、ロイさんが訪れたお気に入りのハーブ・ガーデンの様子をご紹介。また、手軽に作れてヘルシーな、ハーブのシンプル・レシピも教えてくれました。

100%自然栽培ハーブの宝庫 「シークレット・ハーブ・ガーデン」へ!

3月の最終日曜日からサマータイムに切り替って日照時間も長くなり、英国で一番気持ちのいい季節が始まります。水仙、クロッカス、マグノリアなどの花々があちこちに咲き始め、朝早くから響き渡る鳥のさえずりが春の訪れを知らせてくれます。

天気のいい日に、コテージから車で2時間弱のエジンバラ近郊の「イケア」と「コストコ」へ日用品をまとめ買いに。その前に必ず立ち寄るのが、ハーブ専門店「シークレット・ハーブ・ガーデン」でのブランチ。ハーブを使った美味しいメニューと共に、庭園の散策やここならではのお買い物を楽しみます。

イギリス_1
風光明媚な丘陵地帯にある「シークレット・ハーブ・ガーデン」の入口。 

7.5エーカー(30,350平方メートル)の敷地には、100%自然栽培の600種類以上のハーブと花、野菜や植物、養蜂場、自家製のジンの蒸留所、ガーデンカフェ&ビストロ、ショップがあります。ここは英国で唯一の薬用バラであるアポセカリーローズの最大の栽培所でもあり、昨年夏の『サンデータイムズ』紙で、英国内ガーデンセンタートップ30のひとつとして紹介されました。

イギリス_2
新鮮なハーブや植物がたくさん並びます。

やっと春らしくなってきたスコットランドですが、朝晩はまだまだ冷え込みます。

小さな鉢のハーブたちも新芽が出始めたばかりのものが多く、屋外と温室に綺麗にいっぱい並べられたハーブや植物の鉢を見てるだけでもワクワクします。ひとつのハーブでたくさんの品種があるので、迷ったときはショップのスタッフに聞くと丁寧に教えてくれます。

自家製ティーやジンが買えるカントリー調のショップ

庭園入口にあるウッドハウスのショップは、可愛らしいアイテムで溢れています。敷地内で収穫したアンティークの鉢に入った季節の花をはじめ、ハーブティーや蜂蜜、自家製のジンといった食品関係も。英国各地のアーティストによる絵本やポストカード、ガーデンニングの本なども取り揃えられ、どれもオリジナリティ満載のセレクションです。

イギリス_3
入口には咲いたばかりの春の花の鉢が気持ちよさげに並んでいます。
イギリス_4
自家製ティーやジン、アーティストの作品や絵本やポストカードが並ぶ店内。

自家製ジンは、庭園の創設者でハーブ学者でもあるハミッシュ・マーティン氏が栽培した季節のハーブと植物でキュレーションした、全て100%天然素材で手作業の独自の蒸留スタイルで作られたオリジナルフレーバー。ノンアルコールのものもあります。

イギリス_5,酒_1
ずらりと並んだ自家製ジン。

ここでは、ジンに含まれるさまざまな種類の植物と独自の蒸留スタイルを学びながら、6種類のジンのテイスティングができるツアーを開催しています。また、ジンと同じ植物を使用したユニークな天然ティーを作るツアーもあります。次回、庭園も満開になる頃に天然ティー・ツアーに参加してみようと思います。

イギリス_6,ティー_1
オリジナルブレンドしたものからシングルリーフまで、揃うハーブティー。アポセカリーローズティーもあります。

今回購入したのは、レモンベルバーナのハーブティーとノンアルコールのジン。家の中が明るくなる、ひと束の黄色い水仙。

イギリス_7,家_1,花_1
春の象徴である“水仙”とノンアルコール・ジン。
イギリス_8,ティー_2
レモンベルベーナ・ティー。マイルドなレモンの香りで口当たりも滑らかで、消化を助けてリラックス効果も高いハーブ。

このノンアルコール・ジンに使われているハーブは6種類。ジュニパー、コリアンダー、ヤロウ、カルダモン、カレンデュラ、レモンバームのブレンドです。ハーブが織りなす香りと薬草的な不思議な味わい。

冷えたスパークリングウォーターやライトなフィーバーツリーのトニックウォーターで割って、フレッシュレモンまたはライムを少し入れるとより美味しく、リフレッシュしたいときや魚料理と合うかなと思いました。

カフェのお目当ては庭園の食材を使ったホームメイド料理

イギリス_10,ティー_3,スイーツ_1
温室内のカフェは、ガーデンパーティや結婚式にも使用されます。

温室内にあるカフェ&ビストロは、暖かい日は外のガーデンエリアでリラックスできるスペース。お料理お目当てに訪れる人も多いようです。地元のサプライヤーと敷地内で手摘みされた旬の食材を使ったシンプルなメニューは、ハーブの香りや隠れた味、見た目のグリーンが食欲をそそります。

イギリス_11
日替わりスープとローズマリーのフォカッチャ。

この日、私はハーブを使った日替わりスープを。カリフラワー、スイスチャード、リークの野菜のほかに、ハーブの香りと味がミックスされていて絶品。使われたハーブやスープにたらしてあった深い緑色のオイルが気になって何かお伺いしたら、スタッフにもシークレットだそう。オイルは販売もしていないという、残念だけどおかわりしたくなるほど美味しかったです。

イギリス_12
ブレックファストメニューのパンプキンシード入りのサワーブレッドにアボガドとベーコン。ハーブでローストしたトマトにロケットリーフ。

夫はサワーブレッドとアボガドとベーコンにローストトマト。それぞれの食材がマッチしてこちらも美味。ローストトマトに相性のいいバジルが効いて思わず笑顔。デザートはレモン&ラベンダーケーキをシェア。ラベンダーの花が散りばめられて、スポンジにレモンが均等にしみ込んでしっとり。クリームも滑らかで程よい甘さ。どれも美味しく自然の恵みに感謝です。

イギリス_13,スイーツ_2
ハーブや花を使ったケーキや焼き菓子も、見た目も可愛く種類も豊富。左のピンクのケーキがレモン&ラベンダーケーキ。

時短&簡単!家で楽しむハーブのシンプル・レシピ

好きなときに手軽に食べられるように、家ではハーブは鉢とカットしたものを一年中常備しています。好みに合わせて自由自在にどんな料理にも使える万能ハーブ。体調に合わせてハーブを選んだり、ティーやスムージに入れたり、時短料理もより美味しくなるし、お風呂やルームスプレーにも入れたりします。

イギリス_14,レシピ_1
我が家でよく使う、オレガノ、セージ、ミント、タイム、ディルを並べて。

新鮮なハーブを天日干しして、枝から葉を手でとり大きい物は細かく刻んで。手間のかかる作業ですが、香りもよく癒し効果が感じられます。ガラス瓶に保存しておくと簡単に使えます。

次にご紹介する簡単レシピは自己流。味を想像しながら刻んだハーブをどんどん入れちゃいます。日本には日本独自のハーブがたくさんあるので、料理の幅がもっと広がると思います。

■ハーブと相性のいいチキンスープストック

チキンスープストックを作り置きしておくと、忙しいときにも手軽に美味しい料理ができます。低カロリー&ヘルシーでダイエット効果もあるので、週に一度はホールキチンでチキンスープストックを作っています。

何でも好きな種類のハーブをたくさん入れるだけでマジカルな味になるこのスープストックは、シュレッドしたチキンとレタスや椎茸類を加えるのもおすすめ。お腹が空いたときはビーンズやライス、中華麺でボリュームアップ。コリアンダー、ナンプラーとライムを数滴入れるとアジアンテイストになります。

残ったチキンの身もシュレッドして活用。サラダやパンと一緒にしたり、ハーブバターで野菜やパスタと一緒に絡めたりと、いろいろ楽しめます。

【ハーブ入りチキンスープストックの作り方】

ホールチキンを大きな鍋に野菜(にんじん、リーク、セロリ、オニオンなど)と一緒に入れて、チキンが隠れるほど水を入れたら火にかけ、味付けに塩胡椒を少々。煮たったらあくをとって弱火で3時間煮込みます。(私は火を使わないシャトルシェフのお鍋を使っています。電気代を節約でき、時間も気にせず放置できます)

煮込んだ後、野菜を捨てて濾してからお鍋に入れて使っていきます。西洋風、和風、アジアン風とそれぞれの料理に対応できるように、ハーブは後で入れるのがポイント。作り置きにする場合はジップロックに小分けにして冷凍します。

■料理に添えることで味わいが深まるハーブバター&ディップ

イギリス_15,レシピ_2
好きなハーブを入れたハーブバターも使い勝手抜群!

【ハーブバターの作り方】

ハーブを溶かしたバターまたはココナッツオイルと一緒にアイスキューブのトレイに入れて冷凍します。野菜炒めや魚を焼いたり、パンに塗ったりと万能です。

【ハーブのディップの作り方】

ノンシュガーのギリシャヨーグルトやクリームチーズに、タイム・オレガノ・ミント(これ以外でも好きなハーブでOK)、レモン汁と塩&胡椒を適量入れてミックス。スティック野菜やパンやコーンチップスのディップとして重宝します。

今日のおすすめ「なごみワンコ」は…ハーブ・ガーデンで出会ったほんわかワンコ

イギリス_16,犬_1
ほんわか顔でずっとこちらを見てくれていました。

ハーブ・ガーデンの入口で出会ったワンコ。尻尾を振ってクルクル回りながら、優しい顔でじっとこちらを見ていました。後ほどカフェで再び遭遇。またずっとこちらを見てるので、側に行って写真を撮らせてもらって、振り返ると立ち上がって尻尾を振ってずっとこちらを見てくれていました。どこかで会ったことあるのかも?と、懐かしい気持ちにさせてくれたワンでした。


以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載第19回をお届けしました。

豊かな自然や歴史と共に生きる、「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。次回はどんなエピソードが届くのか、ぜひお楽しみに!

この記事の執筆者
東京生まれ。父の仕事の関係で小学生時代をペルーのリマで、高校から大学までを米国シカゴで過ごす。帰国後、ジョルジオ・アルマーニ、マックスマーラ、ロメオ・ジリ、シンシア・ローリー、モスキーノ、ドルチェ&ガッバーナと海外有名ブランドのプレスを歴任。東京で知り合ったスコットランド出身のカメラマンのご主人と8年の遠距離恋愛の末、2005年に結婚して英国へ。 撮影コーディネートや、伝統工芸の取材執筆などを手がけながら、温かくセンスのいいカントリーライフを楽しんでいる。掲載写真の多くは夫のコリン・ロイ氏によるもの。インスタグラムアカウント:akemi_okumura_roy