服を着慣れると、このジャケットにはアレ、あのコートにはコレ、ブランドで選ぶならソレと、自分流の「ベーシック」を構築しがちである。確かに長年の経験から生み出したノウハウは大事だが、一方で、そこに安住していいのか、という疑念も生まれる。そこで、その進化を試みるのが本特集だ。お洒落の可能性を開く、その一助となれば幸いである。
穏やかな春の陽気になびく、男のための外套
コートは一義的には防寒着だが、その面積からシルエットや佇まいに影響を及ぼす。新感覚をもたらすコートは、そのあり様が熟慮されており、動的な要素にエレガンスの真髄を秘める。
■1:コットンギャバを活用した絶対的Aライン
トレンチコートの原型ともいわれるボタンレスコートが基となる『コットンギャバ タイロッケンコート』。時代に左右されない服作りを旨とするブランドの再解釈により導き出されたAラインは、クラシカルでありながら現代的。朴訥とした佇まいには普遍的な美観さえ感じる。インナーとパンツはシンプルに。コートの味付けだけでスタイルが決まりそうだ。
■2:2Bダブルブレストの新たな発見
ダブルブレストのコートと聞くと重厚だと思いが ちだが、さにあらず。合わせの生地量が多いぶん だけ、ボタンを外したときに広がりを見せるのだ。 留めずにキマるパターンと、横に並ぶ2 Bがなせ る業。広がりを収束させるようなテーパードパン ツもポイントだ。シャリ感のあるポリコットンが 見せる光沢あるグリーンに合わせて、渋みのある カラーコーディネートで仕上げた。
■3:わかる人にわかるという“違い”
ゆったり感こそ今風だが、デザインはまさにベーシックなバルマカーンコート。それでもコレを推す理由。それは、袖を通した人がわかる「おさまりのよさ」にある。裁断士を意味するブランド名のとおり、立体的なラグランスリーブの卓越したパターンが勘所。目に留まらない点であっても、いいものはいい。ここを認めるのもベーシックを進化させる鍵なのだ。
■4:ドレープが揺れるニットコートの妙
ソフトコートと呼ばれるその名のとおり、イタリア製ウォッシュドウールニットで仕立てたロング丈コート。布帛に比べると多少のずっしり感こそあるが、その質感ゆえに生まれるドレープは優雅な印象そのもの。ユニセックス展開というのもうなずける。着こなしは動的効果を生かすべくシンプルに、またコートを主役に全身が調和する色使いがおすすめ。ナチュラルブラウンのリネンシャツ程度に濃淡をつけて。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2022年春夏号より
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- PHOTO :
- 金谷章平
- STYLIST :
- 菊池陽之介
- HAIR MAKE :
- 竹井 温(&'s management)
- MODEL :
- Calvin城、Soche
- WRITING :
- 髙村将司
- EDIT :
- 安部 毅(MEN'S Precious)