日本でレクサスブランドがスタートして10年。かつては「セルシオ」の名で展開されていたフラッグシップモデル「LS」が、最新型にモデルチェンジした。2種類のパワートレイン(3.5リッターV6ツインターボと3.5リッターV6ハイブリッド)を揃え、先進の安全装備も満載した、見どころ満載のプレミアム・サルーンである。

高速道路でリラックスして走れる理由

クーペの雰囲気を強調した、流れるようなルーフラインが美しい。これならドライバーズカーとしても違和感がない。
クーペの雰囲気を強調した、流れるようなルーフラインが美しい。これならドライバーズカーとしても違和感がない。
後方カメラの画像を映し出すデジタルインナーミラー。鮮明で距離感もつかみやすく、夜間もしっかりみえる。
後方カメラの画像を映し出すデジタルインナーミラー。鮮明で距離感もつかみやすく、夜間もしっかりみえる。

 今回、一般道と高速道路で試乗したのはハイブリッド車の「LS500h」。高速道路上で、ウィンカーを操作するだけで車線変更も自動で行うアダプティブ・クルーズ・コントロールは、セット方法を覚えるのにやや手間取ったが、動作はとても自然で、ドライバーの意図を削ぐようなことはない。ちなみに車線変更はナビの地図データと連動しており、対応する地図データがインストールされていないと作動しない仕組みだ。

 対して一般道では、幅の狭い場所で大柄なボディを実感することはあったが、車幅の感覚はわりとつかみやすいので、慣れればそれほど気を使うことはないだろう。

ドライブ好きはガソリンターボを選ぶ傾向あり

ふたつのモーターを動かすハイブリッドシステムは、アクセルの応答性に優れる。
ふたつのモーターを動かすハイブリッドシステムは、アクセルの応答性に優れる。
ガソリンターボは新開発。キレのいい10ATとの組み合わせで、リズミカルにコーナーを駆け抜けていくことができた。
ガソリンターボは新開発。キレのいい10ATとの組み合わせで、リズミカルにコーナーを駆け抜けていくことができた。

 ハイブリッドシステムは、エンジンが回った時の速度とのマッチングがきになるものだが、「LS」のそれは極めてスムーズで、違和感が少ない。一方のガソリンターボは、クローズドコースのみでの試乗だったが、加速時の音も含めて、よりスポーティだ。メーカー担当者に聞いたところでは、ドライバーズカーとしての購入を検討している層(つまり走るのが好きなユーザー)は、遅れて発売となったガソリンターボへの期待が大きいという。ビジネスオンリーという使い方でなく、週末のスポーツドライビングを楽しみたい方には、やはりガソリンターボのほうが満足できるのではないか。

「LS」はコーディネートを楽しむべし!

インテリアの選択肢も多彩。こんなアバンギャルドな色使いも!
インテリアの選択肢も多彩。こんなアバンギャルドな色使いも!
こちらはドアのインナーハンドル部分を覆うパネル。日本の伝統工芸を駆使した加工も多く、選び甲斐がある。
こちらはドアのインナーハンドル部分を覆うパネル。日本の伝統工芸を駆使した加工も多く、選び甲斐がある。

「LS」を選ぶうえで大きな楽しみとなるのが、色と素材のコーディネート。独自の複層工程で上質な深みを追求したボディカラーは全13色(モデルによって選択肢は異なる)。白やシルバーは最も人気の高いカラーだが、品格と個性を十知るなら、アンバークリスタルサンシャイン(茶系)やソニックアゲート(ボルドー系)がおすすめだ。そうなると、インテリアも黒ではつまらない。キャメルやトパーズブラウン、アイボリーあたりが、有力な選択肢となりそうだ。また、パネルもウッドの種類と加工処理が多彩で、どれを選ぶかでずいぶん雰囲気が変わってくる。販売店でサンプルをみながら、じっくりと比較してほしい。

 自動ブレーキに加えて操舵も制御して危険回避するプリクラッシュセーフティを始め、予防安全技術も充実した「LS」は、本当にいいモノを長く愛し続ける紳士の眼に十分叶うものだし、欧州車とは一線を画す、優雅なデザインも飽きることはないはず。むしろ、価格や車格で比較するのではなく、レクサスブランドの今を知るという目的を優先して選ぶべきクルマではないかと思う。

〈レクサス・LS500h エグゼクティブ AWD〉
全長×全幅×全高:5,235×1,900×1,460㎜
車両重量:2,390kg
排気量:3,456cc
エンジン:V型6気筒DOHC+モーター
エンジン最高出力:299PS/6,600rpm
エンジン最大トルク:356Nm/5,100rpm
モーター最高出力:180PS
モーター最大トルク:300Nm
駆動方式:AWD
トランスミッション:10AT
価格:1,680万円(税込み)
■問い合わせ先 
レクサスインフォメーションデスク 
TEL:0800・500・5577 
https://lexus.jp

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。