「チャネル」と「チャンネル」は、同じ言葉です。「チェンネルを回す」と表現すると年齢がわかってしまいますが、「あらゆるチャネルを検証する」と聞いて、あなたは意味がわかりますか? マーケティング用語としてであれば、「集客のためにあらゆるルートを検証する」といった意味になります。今回は「チャネル=チャンネル」の詳しい意味についてのレッスンです。

【目次】

「チャネル」とは?
ビジネスシーンでよく見かける「チャネル」は、ジャンルやシーンによって意味が異なる!

【まずは「チャネル」の「基礎知識」から】

■簡単にいうと「〇〇〇〇」ってこと!

語源は英語の[channel]。カタカナでは「チャネル」または「チャンネル」と表記します。つまり、「チャネル」とは「チャンネル」のことです。
「チャネル」は、本来は船舶が航行する際の「水路」や「海峡」など「水の通り道」を意味する言葉です。現在では意味が拡大されて、情報や製品を届ける「経路」「手段」「媒体」「ルート」など意味する用語を「チャネル」、テレビやラジオの「周波数」のことを「チャンネル」として、幅広い分野で使われています。

■ビジネスシーンで使われるときの意味

マーケティングにおける「チャネル」とは、集客のための媒体や経路のこと。製品を消費者まで届ける「流通経路」や「媒体」すべてを意味し、「コミュニケーションチャネル(情報伝達経路)」「流通チャネル(流通手段)」「販売チャネル(販売方法)」の3つに分けられます(「コミュニケーションチャネル」「流通チャネル」については後述します)。


【「チャネル」の「言い換え」「類語」表現】

「チャネル」の言い換え表現は、もとの意味を考えるとわかりやすいですね。

■経路  ■手段  ■道筋  ■媒体  ■ルート 

■チャネルとチャンネル 

理工系の学術用語で「チャネル」表記が選択されているため、JIS (日本工業規格)主要な学会や協会などがこれに準じて「チャネル」を使っています。「チャンネル」との使い分けは業界の慣例に任されていますが、一般に電気通信、電子工学、情報工学などの分野では慣例として「チャネル」を使うことが多く、放送や家電などの分野では「チャンネル」を使います。

■人脈

組織や人の間をつなぐ関わりや情報通路を「チャンネル」と呼ぶことがあります。日本語で「つて」や「人脈」などと同義です。


【ビジネスでの一般的な「使い方」がわかる「例文5選】

では、実際の使用例をチェックしてみましょう。

■1:「『ビジネスモデルキャンバス』は『顧客セグメント』『価値提案』『チャネル』など、9つの要素から構成されている」

■2:「マーケティングでは流通チャネルの数が多い程、多くの集客につながる」

■3:「顧客をターゲット市場に導くことが、それぞれの販売チャネルに課せられた使命だ」

■4:「チャネル戦略には、基本となる構築手順がある」

■5:「FXでは相場の変動を予想するための分析方法を『チャネル』と呼ぶ」


【使われるシーンごとに異なる「チャネル」の意味】

■「医療」分野では……「イオンチャネル」という膜タンパク質

生理学の分野においては、生体膜(細胞膜など)にあり、イオンを通過させるために存在する一種の膜タンパク質を「イオンチャネル」と呼びます。これはバクテリアから高等動物まで、すべての生物の「生命維持」と「活動」に必要なものです。

■「通信」分野では……周波数帯域

ラジオとテレビにおいては、電波の中心周波数と帯域幅は放送局ごとに決められています。これを「チャンネル」と呼びます。チャンネルの割り当て計画は「チャンネルプラン」と呼ばれます。

■「半導体」分野では…「電流経路」

電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)などにおいて、ソース(電流の入口)とドレイン(電流の出口)の間の「電流経路」を「チャネル」と呼びます。


【知っておきたい「チャネル」関連「用語」】

■「Microsoft Teams」における「チャネル」

Microsoft社が提供するチャット・ビデオ会議ツール「Microsoft Teams」においても、「チャネル」という言葉が使われています。Teamsのチャットでは「チーム」と呼ばれるグループを設定しますが、そのチーム内のさらに小さなグループを「チャネル」と呼んでいます。チーム内で共同作業のトピックや分野など、テーマごとに「チャネル」を作成することで、チャットの内容や共有ファイルを分類することができるのです。

■「オムニチャネル」

実店舗やオンラインストアなど、複数の流通経路・販売経路をシームレスに連携させるアプローチ法を「オムニチャネル」といいます。例えば、オンラインストアで購入した商品を、実店舗で受け取れるようにする、あるいは実店舗で在庫切れの商品をオンラインストアで購入できるようにするなどが挙げられます。マーケティングでは各チャネルから必要なものを選択し、最適な組み合わせのチャネル政策を考える必要が求められています。

■「コミュニケーションチャネル」とは

企業と消費者がコミュニケーションを取る場所や手段、媒体を指します。例としては、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、手紙、電話、広告、イベント、チラシ、インターネット(広告、メルマガ、SNS)など、さまざまなものが相当します。

■「流通チャネル」とは

「流通チャネル」とは、顧客に製品やサービスを見せたり届けたりする経路のことを指します。流通業者、卸売業者、小売業者などです。
また、マーケティングには「チャネル戦略」という言葉もあります。これはマーケティングミックス*の代表的な考え方である4Pのうちの、「Place:流通チャネル戦略」を指しています。商品が消費者のもとに届くまで、最適な流通を具体的な施策に落とし込むものです。

*「マーケティングミックス:4P」とは、「Product:製品戦略」「Price:価格戦略」「Place:流通チャネル戦略」「Promotion:プロモーション(コミュニケーション)戦略」)からなる。

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「チャネル」とは「経路」や「手段」、「媒体」や「ルート」など、幅広い用途で使われる言葉です。「イオンチャネル=膜タンパク室」という意味まであるとは驚きですね。ビジネスではマーケティング用語として使われることが多いので、ざっくりと大意を掴んでおきたい言葉のひとつです。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)/『外来語新語辞典』(成美堂出版)/『「知ったかぶり」を解消する! ビジネス用語図鑑』(WAVE出版) :