フランス政府が後押しする世界最高峰レストランのランキング「LA LISTE(ラ・リスト)」2018年版が公表された。その評価方法はユニーク。フランス大使館のHPによると「各国のレストランガイドを内密に評価(インターネットで30万件調査)したシェフ各自の経験に基づいています。口コミサイトを含めて100カ国で200のガイドのデータを加重平均する方法が採られました」とある。ミシュランは「取材」して評価するが、ラ・リスト編集部がその店舗を取材することはなくランキングする。ビックデータ的な統計ということなのだろうか。何人かが来店して皿の上を評価するミシュランガイドとは一線を画す、個人差をとことん排除したランキングだ。

総合評価の面白さを教えてくれた、昭和の歌番組

最高得票を獲得した、ギー・サヴォワ(フランス)と、その他の受賞者たち。左から3番目の男性が、「ラ・リスト」主宰者のフィリップ・フォール氏だ。

 それで思い出したのが、昭和の伝説の歌番組『ザ・ベストテン』(TBS系・1978年~1989年)。当時、ランキングといえばレコードの売上げや有線放送のリクエスト数。あるいは電話リクエストの本数でしか人気の度合いは測れなかったような記憶がある。そんなある意味ガチンコな世界に、レコードの売上げ、有線放送のリクエスト総数、ラジオ放送のリクエストチャート、番組に寄せられた葉書という4つの項目からの総合順位を争うというゲームを創造したわけだ。

 ベストテンには、かなり熱狂したことを記憶している。

 後年(というかごく最近になって)、ベストテンの番組内でも、4つのジャンルの配点比率をけっこう変更していて、最終回までに数回いじっていることもわかった(そりゃそうだ)。

 しかし、それでもいろんな角度で判断していたことで、相当な信頼度が担保されているような気がしてならないのだ。特定のファンが握手券やら、レコードを買い占めただけでは起こりえない、日本中に漂っていた“うねり”みたいなエネルギーを感じていたんだね。

 今でも松田聖子や寺尾聰やたのきんトリオが社会現象だったことを疑う人は誰もいないのではないか? ベストテンには、当時、誰もが納得するほどの“説得力”があったのだ。

 ステマやタイアップ記事の“かさ増し”感が、無視されるどころか一生の信頼を失い袋だたきに遭うほどの憎しみを一身に負うのは、そんな人の得心度合いの裏返しなんだろうか。

お皿の上だけで評価していないのがいい!

2017年12月4日、パリの大統領官邸(エリゼ宮殿)で行われたレセプションには、マクロン大統領も出席。「今夜から『ラ・リスト』は、私たちの才能と欲望のリストになります。世界中の究極の美食です」と、祝辞を述べた。

 そうそう、ラ・リストのこと。

「お皿の上だけを評価する」的な、鳥瞰ではなく虫瞰的な視点でしか評価しないガイドブックにはそもそもなんだか疑問があったのだ(覆面調査員の感想でしかないのってどうなの?)。レストランで食事する楽しみとは、決してお皿の上だけではない。だってそうでしょ?ソムリエの感じの良さだって、トイレの掃除具合だって、メニューがちゃんとテンポ良く出てくるかということも大事。

 お寿司屋さんに至っては、しゃべりの上手下手や握る手の動きだってお味の一部だ。極端なところ、名物オヤジの小言に価値を感じる人もいるはず。

 味覚なんて、録画もできなければ書き取れもしない。ふんわりあてにならないことを一瞬で切り取りそれに点数を付けること自体に無理があるのだ(おそらく)。

『ラ・リスト2018』では、日本最高位に『銀座久兵衛』(東京・中央区)がランクイン。『ジョエル・ロブション』(東京・渋谷区)、『京味』(東京・港区)、『龍吟』(東京・港区)など、ほかのガイドブックでは、必ず上位常連の店舗が後塵を拝している様子がかなり面白い(眺めてるだけでかなり暇つぶしできます)。

 ランクインした店舗は、書き込まれやすさや訪問しやすさ、レビューに取り上げられやすさなどなどの、ものさしも影響しているに違いない。これが、ほかのガイドブックとは圧倒的な違いとなり、圧倒的な個性となっている。

「ラ・リスト」https://www.laliste.com/ja/

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