【目次】

南麻布ってどこにあるの?「場所」

東京都港区には「麻布」と名のつく地名がたくさんあります。南麻布は、その中でも高級住宅街として人気の高いエリアです。どのような場所なのでしょうか?

ちょっと散策してみましょう。

南麻布の「最寄駅」と主要の「通り」

東京メトロ日比谷線の広尾駅で地下鉄を降りて地上に出ると、目の前には南北に走る「外苑西通り」があります。このあたりから南麻布5丁目がスタートです。東京都港区西部に位置する南麻布とは、ここから麻布十番駅に近い南麻布1丁目までのエリアです。

東京メトロ日比谷線の広尾駅を降りたら南麻布のはじまりです。
東京メトロ日比谷線の広尾駅を降りたら南麻布のはじまりです。

外苑西通りを越えて有栖川宮記念公園の方に歩いていくと、ひっそりと静かな雰囲気が広がりはじめます。広尾駅から徒歩3分のところにある有栖川宮記念公園は、面積が67,131.11㎡あるとても大きな日本庭園です。麻布台地の変化に富んだ地形を生かした、緑の多い公園として住人の憩いの場になっています。

有栖川宮記念公園広尾口から入って正面の池。緑豊かな日本庭園が広がります
有栖川宮記念公園広尾口から入って正面の池。緑豊かな日本庭園が広がります

南麻布全体に清々しい雰囲気が広がっているように感じるのは、この公園があるからかもしれません。南麻布の西側では広尾駅と隣接していますが、東北側では、麻布十番駅に隣接していています。麻布十番駅には、東京メトロ南北線・都営大江戸線が通っています。

また、コミュニティバス「ちぃばす」の麻布西ルートを利用すると、広尾駅から麻布十番を通って六本木けやき坂のまでバスで行くことができます。交通の便はとても良い場所です。

南麻布の「地図」

南麻布の「歴史」

南麻布の「由来」とは?

江戸時代、この地域には陸奥仙台藩伊達家下屋敷、陸奥盛岡藩南部家下屋敷などの武家地などがありました。明治に入り、麻布区に所属。昭和41年(1966年)に「住居表示に関する法律」の施行を受けて麻布地区の南に位置する麻布東町、麻布竹谷町、麻布本村町、麻布新堀町、麻布富士見町、麻布盛岡町、麻布広尾町、麻布新広尾町のあったこのエリアの町名が「南麻布」となりました。

麻布本村町は古川の谷へ南面する大地から傾斜地にかかった場所にありました。なので、古くから住居として好まれていたようです。阿佐布(あざぶ)という地名は、この辺りを指したものと推定され、本村(元村)とは麻布の中心を意味したといわれています。麻布富士見町も傾斜地にあり、富士山がよく眺望できたといわれています。昔からとても見晴らしの良いエリアとして愛されていた場所です。

「坂」にも歴史がありました

麻布台地には坂がたくさんあるのが特徴です。ここ、南麻布にも多くの坂があります。「仙台坂」や「南部坂」が有名で、これらの坂には江戸時代からの古い歴史があります。「南部坂」という坂は、江戸時代にあった盛岡藩南部家の屋敷があることから名づけられたと言います。この坂の上には現在はドイツ大使館があります。

その他、このエリアにある「仙台坂」や「青木坂」、「北条坂」も屋敷の名前に由来しています。それぞれご紹介していきましょう。

■仙台坂:元麻布1丁目と南麻布1丁目の間にある仙台坂は、坂の南部一帯が仙台藩伊達家の下屋敷があったためにその名前がついています。下屋敷があった場所は、現在の韓国大使館付近です。隣接していたこの坂の名前に江戸時代の名残が残っています。坂下には400年前から地下水が沸き続けているという井戸があり、現在はカフェになっており、地下水で淹れた美味しいコーヒーを飲むことができます。
■青木坂:江戸時代中期以降、北側に旗本・青木家の屋敷がありました。フランス大使館から下る緑に囲まれた眺望の良い坂道です。
■北条坂:坂下近くの南側に大名・北条家の下屋敷があつたためにこの名がつきました。

南麻布3丁目と5丁目の間にある坂です
南麻布3丁目と5丁目の間にある坂です

江戸時代の古地図を見ながらこの辺りを散歩するのもとても楽しそうですね。下屋敷とは、藩主の遊興のための別荘や、上屋敷などが被災した際の避難所の役割を果たしていた場所なのだそう。江戸時代に盛岡藩南部家の下屋敷として使われていた場所が、現在の有栖川宮記念公園です。

「有栖川宮記念公園」の歴史は?

有栖川宮記念公園のシンボルとなっているのが、「有栖川宮熾仁騎馬像」です。このエリアに子供用遊具もあります
有栖川宮記念公園のシンボルとなっているのが、「有栖川宮熾仁騎馬像」です。このエリアに子供用遊具もあります

1896年(明治29年)には、盛岡南部藩の下屋敷のあった場所に有栖川宮家が別邸を構えます。大正時代になると有栖川宮が廃絶し、有栖川宮の旧称高松宮の称号を賜った大正天皇の第三皇子・光宮宣仁(てるのみやのぶひと)親王が引継ぎます。

その後、児童福祉を目的とする遊び場に深い関心を寄せられていた高松宮殿下は、1934年(昭和9年)にこの地を東京市(当時)に賜与(しよ)され、一般開放されました。そして、有栖川宮記念公園として整備され、戦後には東京都中央図書館が併設されます。

南麻布の4つの「魅力」

■1:自然豊かな有栖川宮記念公園がある

広尾駅側から公園に入ってすぐの池では、カモが優雅に泳いでいる姿を見ることができます。そこから渓流に沿って川のせせらぎを聞きながら、坂道を登っていくとまるで深山にいるかのような心地よさを感じることができる自然豊かな公園です。この公園には、蔵書数が国内の公立図書館で最大級と言われる都立中央図書館も併設しています。春には梅や桜、夏には紫陽花、秋には紅葉など四季折々の季節の移り変わりを楽しむことができます。

有栖川宮記念公園があるあたりは、南麻布の中でも人気のある高級住宅街エリアです。見晴らしの良い高台にある南麻布4丁目から5丁目は特に人気があり、豪邸が立ち並びます。

有栖川宮記念公園の方に歩いていくと、ひっそりと静かな雰囲気が広がりはじめます。
有栖川宮記念公園の方に歩いていくと、ひっそりと静かな雰囲気が広がりはじめます。

■2:インターナショナルな雰囲気を堪能できる

フランス大使館の近くの光林寺には、ハリスの通訳として活躍し、日米修好通商条約締結にも尽力したヒュースケン(アメリカの通訳兼書記)の墓があります。
フランス大使館の近くの光林寺には、ハリスの通訳として活躍し、日米修好通商条約締結にも尽力したヒュースケン(アメリカの通訳兼書記)の墓があります。

港区には、たくさんの大使館が点在しています。そして、南麻布にも多くの大使館があります。そのほかにいも、フランス大使館、ドイツ大使館、韓国大使館、スイス大使館、ノルウェー大使館、フィンランド大使館などが南麻布にあります。なぜこんなに大使館が多いのかというと、明治維新後、政府は旧大名家から没収した屋敷の跡地を大使館用地として各国に提供したからです。それにより港区南麻布も国際色豊かな場所に生まれ変わったといわれています。

有栖川宮記念公園の向かい側には、1962年にオープンした歴史のあるスーパーマーケット「ナショナル麻布」があります。こちらのスーパーマーケットには世界各国の珍しい食材が売られているようです。多様な食文化を実感することができるので、見ているだけでも楽しい場所。お散歩がてら覗いてみるのもよいかもしれません。

■3:名門小学校が通学しやすい距離に揃う

100年以上の歴史がある港区立東町小学校は、廃校の危機があったものの平成24年から「国際学級」が開設されて人気校になりました。国際交流が盛んな小学校としても知られていてとても人気が高いそうです。東京インターナショナルスクールやモンテッソーリスクールオブ東京などといったインターナショナルスクールも豊富です。子供に国際的な教育を受けさせるにも最適なエリアなのです。また、天現寺交差点付近には、慶應義塾幼稚舎や東洋英和女学院など有名私立小学校もあります。

■4:広尾商店街、麻布十番商店街などがあって暮らしやすい

南麻布周辺は、広尾駅、麻布十番駅など魅力的な街並みにアクセスしやすく、生活しやすいのも魅力です。広尾駅には、広尾商店街が、麻布十番駅には、麻布十番商店街があります。

広尾商店街は、高級住宅街や大使館が近くにあって国際色も豊かなお店が立ち並ぶおしゃれエリアです。それと同時に、東京大空襲の戦火を逃れたこともあってか下町風情も残しているといいます。創業100年以上を超えるお店もいくつか点在していて、その一つがブルーボトルコーヒーの隣にある銭湯「広尾湯」です。地元で愛され続けている老舗と、新しいお店が融合していて、様々な人に愛されている商店街です。


参考:港区ホームページ 
          有栖川宮記念公園
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
柳堀栄子