「Mikako Nakamura」揺るぎないスタイルと進化するエレガンス

「ミカコ ナカムラ」が南青山サロンを通して重ねてきた10年を振り返りながら、愛され続けるブランドの今とこれからを探ります!

中村 三加子
デザイナー
(なかむら・みかこ)山岳画家の中村清太郎を祖父に東京で生まれる。数々のブランドの企画、コンサルティングを経て、2004年、目白のサロンにてオートクチュール、セミオーダーを中心に「MIKAKO NAKAMURA」を、2008年にはカジュアルラインの「M-Fil」を発表。2012年、旗艦店の南青山サロン誕生。撮影/篠原宏明

南青山サロン10周年を迎えて、新しいフェーズへと歩みを進めるデザイナー中村三加子さんに聞きました!

Q :(編集部/以下同)東京・表参道の人気洋書店「嶋田洋書」があったT-Placeの一角に開かれた南青山サロンは、今や日本の女性のためのエレガンスの新拠点になりつつあります。目白に続く南青山サロン開設のきっかけは?

A:(中村三加子さん/以下同)もともと「嶋田洋書」さんが好きで、この場所への愛着がありました。より多くの方に足を運んでいただける場所に出店するならここがいいと思っていました。2011年の震災の直後という不安はありましたが、素晴らしい巡り合わせでこの場所に出店することができ、感謝しかありません。初めから「サロン」にしたかったので、2階という場所もよかったと思っています。

Q :2004年、ちょうどPreciousの創刊年に、目白のサロンで「Mikako Nakamura」が始まりました。当時のブランドへの思い、服づくりへの思いを改めて教えてください。

A :「捨てる服はもういらない」「お客様が主役」「生涯のお付き合い」「本当に美しいものは自然のもの」というコンセプトを掲げてスタートしました。

Q :南青山サロンが誕生した、この10年でどんな変化がありましたか?

A :服づくりへの思いや、サロンの考え方は今もブレることなく変わりませんが、変えなければならないことは変えていく。サロンでは多くのお客様と直にお話しすることで、お考えやお望みを学ぶことができました。そのことがデザイナーとして進化させてくれたのです。

もちろん若い頃も自信をもってデザインをしていましたが、この10年のほうがつくりたいものに近づくことができているという自信と共に、ブレない気持ちが強くなったのを感じています。

Q :デビュー当時から考え抜かれたデザインそれぞれに名前がついていました。特にコートを中心として、歳月を重ねるごとにマスターピースとしての価値が高まったように思いますが。

A :最初は自分自身が定番を決めてオーダーを受けていましたが、マスターピースとはお客様がつくっていくものだと今は感じています。時代の変化に伴い、マスターピースが増えたり、減ったりしていくこともあると思います。

Q :毎シーズンの新色や、定番色の考え方について教えてください。

A :顔映りはどうかをいちばんに考えます。日本人の顔立ちに合う色であるように、くすんで見える色の服はつくりません。また黒や白こそ、無彩色ではなく「色」としてとらえて、デザインを深く考えています。

Q :ベージュ、グレージュといったニュアンスカラーもお得意ですね。

A :実はこうした色は日本人には難しいもの。だからこそ熟慮を重ねて、顔映りのいい、日本人に似合う色にとことんこだわって、独自のグレージュやベージュをつくっています。

Q :ご自身がいちばん好きな色や、ずっと提案したい色は?

A :自分の生活のなかでいちばん身近にあるのは「ブルー」。空も海も川もブルーではないのにブルーを感じます。心の目で感じるブルーがいちばん好きで、身近に感じられる色です。ブルーを見ているとリラックスできるのです。

Q :中村さんにとって、エレガンスとはなんでしょうか?

A :「上品」であること。思いやりと感謝の気持ちをもっていることが上品で、エレガントなのだと考えています。

Q :これからまた10年、どんなブランド、サロンでありたいですか?

A :商品の価値や品質を落とすことなく、正直にものづくりに向き合い、心から楽しめるサロンをつくっていきたい。ブランドの思想に共感してくださり、愛情溢れるお客様が集うサロンとして進化していけたら…。


「Mikako Nakamura」愛され続けるブランドの10年を振り返ります

【2012年】作品をいつでも試着できる南青山サロン開店と同時にランウェイは最後に!?

ミカコ ナカムラの2021年秋冬コレクションより
 

「ウィンター ラグジュアリーリゾート」を掲げた2012年秋冬コレクション。南青山サロンでは、お客様が直に新作に触れられる機会が増えるという理由から、実はこのシーズンでランウェイが最後に!


【2018年】TVドラマ『SUITS/スーツ』ではキャリアのブラウススタイルに人気集中!

フジテレビ「月9」枠を賑わした番組『SUITS/スーツ』では、鈴木保奈美さん演じる弁護士チカのリアルエレガントな衣装が話題に。その多くに「ミカコ ナカムラ」のブラウスとスカートが登場。2020年のシーズン2の頃にはキャリアの定番スタイルに。

本誌でも鈴木保奈美さんがキャリアスタイルをまとって!

『Precious』2020年3月号掲載ページ
2020年3月号掲載 撮影/浅井佳代子 

番組の人気を受けて、スタイリングを手掛けた犬走比佐乃さんによる鈴木保奈美さん出演のページを企画。このブラウスにも問い合わせが殺到して。


【2019年】15周年記念イベント和光「美のミュージアム展」でマスターピースが再評価! 

ブランド創設15周年を迎えたこの年、その軌跡をたどるアーカイブ展を銀座「和光」で開催。この展示を通して、設立時からの「捨てる服はもういらない」というメッセージが現実のものとなり、15年の歳月の間に多くの新作がマスターピースとなり、愛されてきたことに驚く。

15年のアーカイブは今見ても新鮮!

ミカコ ナカムラのアーカイブコレクションより
 

展示スペースの一角を鮮やかに彩る、デザイナー中村三加子さんも大好きだというブルーのコレクション。特にナバホ族を象徴するブルーは、今季の新色「ターコイズ」としても新たな表現が加わって。

定番12型のパーマネントデザインを一堂に紹介

『Precious』2019年10月号掲載ページ
2019年10月号掲載  撮影/熊澤 透

ブランド15周年では、12型のマスターピースを丁寧に紹介。名品選びが十八番の本誌にとっては、よく知る名前も多く、注目に値するページに読者からも反響が!


【2022年】「静」から「動」へ 優美な動きをアスリートが表現

ミカコ ナカムラのイメージポスター(モデル:アテネ五輪シンクロナイズドスイミング(当時)銀メダリスト、藤丸真みち世よさ)
(C)MIKAKO NAKAMURA

コロナ禍を経て、再び動きだした女性たちのために、「動」をテーマにした今季。たっぷりとした布使いは思いのほか軽やか。

アテネ五輪シンクロナイズドスイミング(当時)銀メダリスト、藤丸真みち世よさんをモデルに、美しい動きのなかで服の魅力をとらえた写真が、南青山サロンの一角に飾られています。

今年らしい洗練配色のブラウス&スカートも!

ミカコ ナカムラのシルクブラウスとスカート
シルクのブラウス¥143,000・シルクウールのスカート¥143,000(ミカコ ナカムラ 南青山サロン〈MIKAKO NAKAMURA〉)

話題のスタイルを今季の新色で華やかにコーディネート。モカブラウン×大人ピンクの相性のよさも見事。


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※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

ミカコ ナカムラ 南青山サロン

TEL:03-6427-2435

EDIT&WRITING :
藤田由美、古里典子(Precious)