ガソリンや軽油を燃料とするレシプロエンジン車に代わる電気自動車、EV。当面はハイブリッドカーや外部充電ができるPHV(プラグインハイブリッドカー)が主流であることに変わりはないが、日本発の量産EVとして果敢な挑戦を続けているのが、日産「リーフ」だ。7年ぶりに全面改良され、航続距離が格段に伸び、運転する楽しみも加わった。それはとても独創的で、運転の本質に関わるものだ。

ボディカラーで遊べる

新型「リーフ」には、なかなか刺激的なボディカラーも用意されている。
新型「リーフ」には、なかなか刺激的なボディカラーも用意されている。
充電スポットはナビ画面で検索できる。また、先進の運転支援システム「プロパイロット」は全車標準装備だ。
充電スポットはナビ画面で検索できる。また、先進の運転支援システム「プロパイロット」は全車標準装備だ。

 初代の、個性的だが格好いいかと聞かれると言葉に詰まるデザインから一転、2代目「リーフ」は背の低いクロスオーバーミニバンを思わせる、オーセンティックなプロポーション。それでも各部のディテールはなかなか先鋭的で、2トーンカラーを含む計14種類の外装色によっては、とても印象的な雰囲気をまとう。人気の中心は大定番の白やシルバー系だそうなので、イエローやオレンジ、白でもピラーから上がブルーという組み合わせが、新鮮さを求める紳士にはおすすめだ。

 フル充電時の最大航続距離は、カタログ値で約400km。起伏の多い道を走ったり(そもそも日本にはひたすら平坦な道が少ない)、電装品の使用を考慮すれば、その半分が目安といったところだが、普段使いにはまず問題ないし、遠出する際もあらかじめ充電ポイントを把握しておけば、安心できるだろう。

回生ブレーキを生かすも殺すもドライバーしだい

カートコースでの試乗の様子。「e-Pedal」の効果は絶大で、ワンペダル操作で一周を走る切ることができた。
カートコースでの試乗の様子。「e-Pedal」の効果は絶大で、ワンペダル操作で一周を走る切ることができた。

 新型「リーフ」最大の特徴は、むしろ「e-Pedal」と呼ばれる強力な回生ブレーキ機能だ。オン状態で走ると、アクセルペダルを離したときの減速Gはとても強くなり、機械式ブレーキと統合制御することで、完全に離せば停止状態を維持できる(もちろん制動時はテールランプが点灯する)。つまり、アクセルコントロールだけで走れてしまうのだ。回生ブレーキで電気が貯まり、航続距離を稼ぐことができるうえ、モーターの滑らかで力強い走りを逆の抵抗力も含めて実感しながら走ることができるこの機能は、3ペダルのMTとは比べものにならないほど楽。

 ただし、ラフなアクセル操作は禁物だ。同乗者ががっくんと揺さぶられないように制御はしているのだが、それでもドライバーの癖が如実に現れる機能ではある。本来、アクセルはじんわりと踏むもので、踏み込んだ分だけ加速するのが正しいのだが、かつての日本では、そうした作りはユーザーに受けなかった。ちょっと踏んだだけでバーンと加速するわかりやすさが求められていたのだ。それだけが原因ではないものの、いまだにプロドライバー(ここでは旅客業のドライバーを指す)でも、アクセルを一気に踏んでは一気に離す癖をお持ちの方は多い。

「リーフ」の「e-Pedal」は、正しく、紳士的な運転操作ができるかどうかの「踏み絵」みたいなものだ。運転に自信がある方も、ラフな操作に心当たりのある方も、まずはディーラーで試していただきたい。すぐに慣れるし、使いこなせばドライブがぐっと楽しくなること確実だ。

〈日産・リーフ G〉
全長×全幅×全高:4,480×1,790×1,540㎜
車両重量:1,520kg
総電力量:40KWh
最高出力:150PS/3,283〜9,795rpm
最大トルク:320Nm/0〜3,283rpm
駆動方式:2WD
価格:399万600円(税込み)
■問い合わせ先 日産自動車お客様相談室
TEL:0120-315-232
http://www.nissan.co.jp

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。