「兎角」ってなんと読む?「兎に角」とは関係あるの?
令和5(2023)年の干支は「うさぎ」ということで、新年は「卯」「兎」という字の入った日本語クイズを続けてお送りしてまいりました。本日はその第3段、「兎」の入った2問をお送りします。
【問題1】「兎に角」ってなんと読む?
「兎に角」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「ほかのことは別問題として」「先に挙げた事柄にはかかわらずに」などの気持ちを表す言葉です。
<使用例>
「結果は兎に角、チャレンジしてみない?」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 兎に角(とにかく)です。
「とにかく」という言葉はよく耳にしますが、「兎に角」という表記は以外に思われた方も多いのでは? …というところで、ひとまず2問目にまいりましょう。
【問題2】「兎角」ってなんと読む?
「兎角」の「とこう」以外の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「うさぎにツノが無いことから、現実には存在しないもののたとえ」や、「さまざまな物事を漠然とさす。いろいろ」また「ある状態になりやすいさま」また「何はさておき」などの意味で副詞として使用されるなど、表現する意味の多い言葉です。
<使用例>
「親というものは、兎角、口うるさいものですよ」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 兎角(とかく) です。
「兎に角(とにかく)」と、「兎」「角」の読み方は同じながら、「兎角(とかく)」という言葉のほうが、広範囲の意味をもち、その意味の方向性もさまざまです。実は、「兎角(とかく)」と「とにかくに」という二つの言葉が、歴史の途中で複合した、という説が有力です。「兎角(とかく)」は、もともと「兎角亀毛(とかくきもう)」という仏教上の「現実にはありえないもののたとえ」を意味する四字熟語から出た言葉、といわれています。この言葉の表記が、日本の平安~江戸時代あたりに使われていた「とにかくに」という言葉の漢字表記として、なぜか転用されたようです。
「とにかくに」の「と」は「そのように」を意味し、「かく」は「このように」を意味する、どちらも副詞です。もとは「あれこれと」「何やかや」という意味で使用された言葉で、転じて「いずれにせよ」という意味になった、と言われています。「兎角(とかく)」「兎に角(とにかく)」、どちらもよく使い、耳にする言葉でありながら、改めて考えると意味の範囲が広すぎて「こういう意味の言葉です」と説明しにくいですね。このようなあいまいな言葉には「ふたつの言葉が歴史上で、なぜか合体してしまった」という背景をもつものもあるのですね。
ちなみに、2問目の問題文に出てきた「兎角(とこう)」という読み方・言葉は、「あれこれ。何やかや」という意味です。「とにかくに」という言葉と「兎角(とかく)」の表記が合体したあとに、「とにかくに」の意味合いが「とこう=あっちもこっちも」と同じような言葉である、ということから、もっともあと付けで生まれた読み方だと考えられますね。
…ううん、ややこしい。
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本日は、「卯年」にちなんで「兎」という字の入った日本語から、
・兎に角(とにかく)
・兎角(とかく)
などの読み方や、成り立ちの背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/『語源由来辞典』(株式会社ルックバイス)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱