日本の春ならではのアクティビティといえばお花見。旅先で桜景色に出合えると思わず心が和みますが、そこに温泉の癒しが加われば、よりいっそうリフレッシュ効果が高まること間違いありません。そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、日本全国に数ある温泉旅館のなかから、最高の花見体験ができる名宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは秋田県男鹿市にある「男鹿ホテル」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

視界いっぱいの桜を愛でながら露天風呂を満喫

エントランスでも満開の桜がお出迎え
エントランスでも満開の桜がお出迎え

なまはげの民俗行事で知られる秋田県の男鹿半島にある男鹿ホテル。毎年、厳寒期には休業し、桜のシーズンに合わせてオープンするこちらの宿では、男鹿随一の広さを誇る露天岩風呂が自慢です。

桜が迫力満点の露天風呂
桜が迫力満点の露天風呂

「こちらの露天風呂の持ち味は、圧倒的な開放感。数十人が同時に浸かってもゆったり湯浴みできるくらいの広さの湯舟のまわりに見渡す限りソメイヨシノが咲き乱れ、言葉にできない美しさです。

温泉は夜間は24時まで利用可能で、夜桜がこれまた感動的。日中の華やかな光景とはまた違った幽玄なムードでの花見風呂を満喫できます。男鹿は遠いけれど、その労力を補って余りあるプレミアム級の体験が叶えられること請け合いです」(植竹さん)

夜桜も必見
夜桜も必見

「泉質はナトリウム-塩化物泉。自家源泉のパワフルな湯はあたため効果が高く、浸かっているとすぐにじんわりと汗がにじんできます。桜を見上げながらの湯浴みは実に雰囲気がよく、ずっと露天風呂にいたくなりますが、長くは浸かっていられないので出たり入ったり…。桜の時期の男鹿はまだまだ外気は肌寒く、湯舟でのポカポカと外のひんやりを交互にリピートしていると、いつしかサウナで整うような感覚も得られました」(植竹さん)

まるで別世界に迷い込んだかのように幻想的…。
まるで別世界に迷い込んだかのように幻想的…

ジュワッと豪快!男鹿名物「石焼料理」をはじめ郷土の味に舌鼓

男鹿名物「石焼料理」
男鹿名物「石焼料理」

「露天風呂の花見を目当てに訪れた宿だったのですが、思いのほか食事のクオリティが高く、胃袋もしっかりつかまれてしまいました。特に印象に残っているのは、男鹿伝統の石焼。魚介と湯の入った木桶に800度に熱した石を放り込み、じゅわっと瞬間加熱するという豪快な料理で、そのライブ感が気分を盛り上げてくれます。しかも、単なるパフォーマンスではなく、短時間で一気に加熱することで、身に食感と旨味が残り、おいしく仕上がるのだそう」(植竹さん)

春の料理の一例
春の料理の一例

「石焼のワイルドさとは裏腹に、他の料理はフレンチ仕立てで繊細。器や盛り付けもひとつひとつが凝っていて、目でも楽しませてくれます。海が近いので魚はどれも新鮮だし、秋田の地酒もしみじみとおいしく、至福の夕餉でした」(植竹さん)

食事処からも中庭の桜が見える
食事処からも中庭の桜が見える

「一夜明けて、朝食は中庭の桜が眺める食事処で。私が訪れた日は少し風があり、桜吹雪の舞うさまが儚くも美しかったのが印象的です。桜はデリケートなため、開花予測とにらめっこしながら綿密に旅の予定を立てても、実際に宿を訪れたときには早すぎたり遅すぎたりで残念な思いをすることもしばしば。ただ、それだけにジャストで満開時に巡り合えたときには感無量です」(植竹さん)

ソメイヨシノのシーズン終了後はゴールデンウィーク頃まで芝桜が見頃
ソメイヨシノのシーズン終了後はゴールデンウィーク頃まで芝桜が見頃

以上、男鹿ホテルをご紹介しました。迫力満点の花見風呂や秋田の郷土料理で心身のリフレッシュを叶えたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

  • 男鹿ホテル
  • 住所/秋田県男鹿市北浦湯本字草木原13-1
    客室数/全58室
    料金/1名 ¥15,730~(税込)
  • TEL:0185-33-3101
  • ※オープンは2023年4月15日(予約は受付中)

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生