日本の春ならではのアクティビティといえばお花見。旅先で桜景色に出合えると思わず心が和みますが、そこに温泉の癒しが加われば、よりいっそうリフレッシュ効果が高まること間違いありません。そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、日本全国に数ある温泉旅館のなかから、最高の花見体験ができる名宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは栃木県那須塩原市にある「板室温泉 大黒屋」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

満開の桜を眺める絶景露天風呂に感動

自然豊かなロケーションで四季折々の情緒が味わえる「板室温泉 大黒屋」
自然豊かなロケーションで四季折々の情緒が味わえる「板室温泉 大黒屋」

「板室温泉 大黒屋」は、保養とアートをコンセプトとする湯宿。那珂川沿いの緑豊かな山々に囲まれたこちらの宿では、客室や露天風呂、ロビーなど館内のさまざまなスポットから桜を愛でることが可能です。

リニューアル前の露天風呂からの眺め
リニューアル前の露天風呂からの眺め

「私が大黒屋を訪れたのは昨年2022年の4月。幸いにもちょうど桜が満開のタイミングで、露天風呂からの景色たるや、それはもう息を呑む美しさだったのが忘れられません。ただ遠目に桜を眺めるのではなく、浴槽と桜との距離が近くて迫力満点。まるで桜に包まれながら湯浴みするような感動が味わえます。

なめらかでしっとりとした浴感の湯は、ちょうどいい感じのぬる湯で、ずっと浸かっていられる心地よさ。桜の絶景と湯のよさの相乗効果で、このまま温泉から出たくないと思ってしまいました」(植竹さん)

露天風呂は2022年冬にリニューアル。2023年春にはよりいっそう開放的なムードでの桜景色が期待できそう。
露天風呂は2022年冬にリニューアル。2023年春にはよりいっそう開放的なムードでの桜景色が期待できそう。

「ちなみに、露天風呂のすぐそばにある内湯『たいようの湯』では大きな窓越しに四季折々の景色を眺めることができ、引き目で見る桜も絵画のような風情が。また、もうひとつ別のところにある内湯『ひのきの湯』は景観はありませんが、こぢんまりした浴槽に次々と源泉がかけ流されて、湯のコンディションのよさがダイレクトに感じられました。

泉質はアルカリ性単純温泉。規定値には満たないけれど、硫酸イオンがしっかり感じられる湯で、アルカリの乳化作用で肌表面の汚れをおだやかに落としつつ、しっとり潤いをチャージできます。美肌の湯としての満足度も高いのではないでしょうか」(植竹さん)

内湯「太陽の湯」
内湯「たいようの湯」
内湯「ひのきの湯」
内湯「ひのきの湯」

客室やロビーでも眼福…さまざまな角度から春を満喫

客室からの目が覚めるような桜景色
客室からの目が覚めるような桜景色

「大黒屋で花見が楽しめるのは、露天風呂だけではありません。私が案内していただいた部屋では、窓が大きくとられており、部屋に入った瞬間、満開の桜景色が飛び込んできたのにも感動。窓際には那須の木工作家の手掛けた北欧風のテーブルと椅子が設置されていてワーケーションもはかどりますし、寛ぎながら花見をするのも至福のひとときです。

室内は余計な装飾を省いたシンプルな造りなのも魅力的。日頃ごちゃごちゃと物質的にも精神的にもいろいろ抱え込んでいる反動なのか、そのすっきりした空間がものすごく居心地がよく、癒しをもたらしてくれます」(植竹さん)

無駄を削ぎ落した美しい空間は女性のひとり客にも人気
無駄を削ぎ落した美しい空間は女性のひとり客にも人気

「大黒屋では、現代美術家によるインスタレーション庭園も配しており、桜とアートの融合も見事。ロビーなどパブリックスペースからの桜景色も、つい足を止めて見惚れてしまうほどです。日によってはかがり火によるライトアップの演出もあり幻想的な夜桜が見れるなど、とことん春の情緒を味わうことができます」(植竹さん)

美しい庭園は散策にもぴったり
美しい庭園は散策にもぴったり
幻想的な夜桜
幻想的な夜桜

滋味深い料理で体の内側からもリフレッシュ

一皿一皿、丹念に作り込まれた夕餉
一皿一皿、丹念に作り込まれた夕餉

料理のコンセプトは「胡豆昆(ごずこん=胡麻、豆、昆布)」。大黒屋では、古来より日本で親しまれてきたヘルシーな食材や旬菜を用いた繊細な料理も自慢です。

「夕食や朝食は、食事処ではなく客室で提供されるスタイル。桜を眺めながらマイペースでごちそうをいただけるのもありがたいサービスです。色とりどりの食材で、目にも美しい料理は優しい味わい。温泉だけでなく、食事からも養生、保養ができるように感じられます。栃木和牛などももちろんとろけるような旨味ですが、こごみやウドなどの山菜、菜の花やホタルイカ、タケノコといった旬の食材がしみじみとおいしかったのが印象的です」(植竹さん)

目覚めから元気になれそうな朝食。※写真は夏メニュー。
目覚めから元気になれそうな朝食。※写真は夏メニュー

以上、「板室温泉 大黒屋」をご紹介しました。保養とアートがコンセプトの宿で花見や滋味深い料理でパワーをチャージしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生