『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。今回は、春を迎え華やぐ気持ちを映し、コーディネートにワンランク上の洒脱さを添える「スプリングコート」にフォーカス! 成熟した大人の女性になった今だからこそ取り入れたい! 着こなしたい! 綺麗色のスプリングコートの洗練スタイリングを、犬走さんのお気に入りアイテムとともにレクチャーしていただきましょう。
大人の女性だからこそ似合う綺麗色コートは、素材の上質さが命!
犬走さんのステディカラーといえば、なんといってもネイビーですが、綺麗色を取り入れた私服コーディネートで打ち合わせなどに登場することもしばしば。
「やはり春が来ると気持ちが華やいで、色で季節感を表現したくなりますよね。でも実はコートに関しては、春物に限らず綺麗色が好きなんです。ベーシックカラーは、トレンチコートくらいでしょうか」(犬走さん)
しかし、着慣れていないと、ちょっとハードルが高い綺麗色。分量が多いコートなら、なおさら勇気が要りそうですが、Precious世代こそ綺麗色を取り入れるべきと犬走さんは語ります。
「この“エルメスオレンジ”のコートはひと目惚れでしたが、私も『目立ち過ぎるかな』と最初は少し躊躇しました。実際、目立つは目立つのですが(笑)、こんな風にデニムを合わせてカジュアルに振れば、案外さりげなく着こなせるんです」(犬走さん)
セレクトする際、犬走さんがもっとも重視しているのは「生地の上質さ」。
「デザインはそれこそ、その人好みや時代のムードで選べばいいですし、色は試着してみて顔映りを慎重にジャッジして決めればいい。でも、どんな色、デザインでも、絶対に生地が上質でなければいけません。
触感や着心地はもちろんですが、生地のクオリティってこの年齢になれば、皆さんだってパッと見でわかりますよね? 必ずしもハイブランドである必要はないけれど、生地の質感がコーディネートの印象を左右するから、そこはこだわって選んでほしいです」(犬走さん)
長年愛し続けている、「ミカコ ナカムラ」の綺麗色コート2トップ
犬走さんが所有している数着の綺麗色のスプリングコートのうち、2着は「ミカコ ナカムラ」のもの。
「2004年に東京・目白でコートのセミオーダーのアトリエからスタートしただけあって、美しく個性的なクチュール感溢れる綺麗色コートに出合えるブランドです」(犬走さん)
コートに限らず生地へのこだわりが強い「ミカコ ナカムラ」。犬走さんがもう10年以上愛用し続けている2着の綺麗色コートも、それだけの歳月を経てもなお美しい発色を保ち続けています。
「コートのカラーインパクトが強いぶん、インナー&ボトムスはベーシックカラーでバランスを取って。私の場合、まずスカートに合わせることはなく、もっぱらパンツで着こなしています。多分Precious世代なら、甘くなりすぎてしまう可能性があるスカートよりも、パンツの方が合わせやすいのでは」(犬走さん)
では、「ミカコ ナカムラ」の綺麗色コート2着を例に、洗練スタイリングのヒントを教えていただきましょう!
■1:艶やかなローズピンクは、ネイビーと相思相愛
まとった瞬間から心を高揚させるような、華やかなローズピンク! シンプルなノーカラーのコートには、ネイビーのパンツを合わせることが多いそう。
「ブラックだとコントラストがキツくなり過ぎて、洗練とは遠ざかってしまいます。やはり相性がいいのはネイビー。艶やかなピンクに、程よいシャープさと知性を添えてくれます」(犬走さん)
■2:イエローの千鳥格子柄には、ライトグレーを合わせて軽やかに!
アシメトリーなデザインと大きなボタンが個性的で、まさに「大人の女性の可愛さ」が横溢する千鳥格子柄のコート。
「これも最初は『ちょっと派手すぎるかも』と思いましたが、このイエローの色味の可愛さに抗えず購入しました。襟がスクエアにカットされているので、グレーのタートルネックのニット&ライトグレーの細身のパンツを合わせて着ることが多いですね」(犬走さん)
それ1着だけでコーディネートが一気に華やぐ「綺麗色コート」というヒロインアイテム。顔映りがいい色、そして上質素材を吟味して取り入れ、明るいムードに溢れるこの春を謳歌しませんか?
※私物に関しての各ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。
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- PHOTO :
- 黒石 あみ(小学館)
- WRITING :
- 岡村佳代
- EDIT :
- 谷 花生